#AQM

I oppose and protest the Russian invasion of Ukraine.

#NEW GAME! 12巻 評論(ネタバレ注意)

失礼ながら「まんがタイムきらら」系の量産型美少女萌え4コマのルックスを持ちつつも、「登場人物が成長していくお仕事漫画」の背骨を頑なに守り続ける漫画。

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「NEW GAME!」12巻(得能正太郎/芳文社)

多摩美に不合格、専門学校を経てゲーム会社に就職するも2年で退職した作者の経歴や情念をいろんなキャラに色濃く反映、「業界もの」としてはだいぶ情報を薄めて、仕事の失敗や人間関係の葛藤を通じた登場人物の成長を焦点に。

次巻で完結とのことです。

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「NEW GAME!」12巻(得能正太郎/芳文社)

成長のための試練、といえば聞こえはいいですけど、萌え4コマの範疇を逸脱するくらいキャラクターたちにストレスを与え続けてはそれを乗り越えさせてきた漫画で、この巻もそれは変わらず。

むしろ最大最後の大きな試練というかストレスというか。

もうこれ萌え4コマじゃなくて、半沢直樹というかプロジェクトXというか、完全におっさん向けのあっちのコーナーの作劇に。

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「NEW GAME!」12巻(得能正太郎/芳文社)

協働によってモノづくりをするリーマン向けのある種の夢を描く作品ですけど、甘い夢ではなくて、苦く苦しい艱難辛苦の果てのカタルシスを描こうとする作品。

俺らが楽しく遊んでるゲームも、こういう胃が痛くなるような出来事の積み重ねでできてるのなー…

美少女絵しか描けないのに、プロジェクトXのような話しか描けないこの作者が、次回作に一体なにを描くのか、早くもそっちが気になってしまいます。原作者とかになったりするんかな?

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「NEW GAME!」12巻(得能正太郎/芳文社)

この作品はまあ、青葉たちがこれまで何度も逆境を乗り越えてきたのを見てきたので、実はあんまり心配してないんですけど。

きっと苦くて甘い、でも自分もがんばろうと思えるようなハッピーエンドが待ってるだろう、と信頼しています。どうせ泣くんだろうな俺…

さあ最終巻!いつだ!?かかってこい!

 

 

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#転スラ日記 転生したらスライムだった件 5巻 評論(ネタバレ注意)

ラノベ・なろう系で隆盛する異世界転生ものでも最近最もヒットしている作品のひとつ「転スラ」の出来物の日常4コマスピンオフ。

自分は転スラは嗜む程度でどハマりしてるほどではなく、このスピンオフ4コマ「転スラ日記」に至っては完全に作者の柴先生目当て。

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「転スラ日記 転生したらスライムだった件」5巻より(伏瀬/柴/講談社)

「家康に過ぎたるもの二つあり、唐の頭(兜の飾り物)に本多平八(忠勝)」

という言葉に倣うなら

「転スラに過ぎたるもの三つあり、アニメ人気にコミカライズのヒットに柴先生の転スラ日記」

という感じ。ただの読者なんで軋轢を恐れずに言うと、本編コミカライズより絵も上手い。

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「転スラ日記 転生したらスライムだった件」5巻より(伏瀬/柴/講談社)

5巻ということで、話もだいぶ進んで、主人公がテンペストを留守にしてイングラシアの教師編、妖精の洞窟に探検編など。

相変わらず可愛らしく、ベタながら面白いんですけど、惜しむらくは本編読んでないとさすがにチンプンカンプンなスピンオフの宿命。

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「転スラ日記 転生したらスライムだった件」5巻より(伏瀬/柴/講談社)

ネタの背景のとなるベースのシチュエーションも込み入ってきて、1巻の頃ほどネタがシンプルじゃなくなってきてて、本編の読み込みが必須です。

自分も読んでてちょいちょい怪しいなコレ。

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「転スラ日記 転生したらスライムだった件」5巻より(伏瀬/柴/講談社)

そろそろどっかで「天スラ」「天スラ日記」をイッキに読み返したいところですけど、なかなか時間がね…

この後は割りとシリアスな、人間国家によるテンペストに対する侵攻ですけど、ギャグコメディのこの作品がどう捌くのか、ちょっとした見もの。

 

 

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#望郷太郎 4巻 評論(ネタバレ注意)

「デカスロン」「へうげもの」の作者の現作。

突如地球を襲った大寒波に際し、財閥系商社・舞鶴グループの創業家7代目、舞鶴通商のイラク支社長・舞鶴太郎は、駐在するバスラで極秘に開発させていた冷凍睡眠シェルターに妻と息子を伴って避難。1〜2ヶ月の冷凍睡眠で大災害をやり過ごす心算だった。

太郎か目を覚ますと、隣で眠っていた妻も息子もミイラ化し、装置が示す数値はあれから500年が経過していることを指し示し、シェルターの外には廃墟と化したバスラの街並みが広がっていた。

人が絶えたように見える世界を前に太郎は、自らの死に場所を娘を残してきた故郷・日本に定め、長い旅路を歩き始める。

旅路で出会う、わずかに生き残った人類たちは、過去の文明の遺産を再利用しながら、狩猟と採集で食いつなぐ原始に還った生活を営んでいた。

で始まるポストアポカリプスなサバイバルなロードムービーもの。

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「望郷太郎」4巻より(山田芳裕/講談社)

としてスタートした作品ですけど、もう既にジャンルが少し変わったというか本質が表れていて、実態は原始環境における経済もの、「金と人間」をテーマにした作品に。

作りは「なろう」の転生チートに似ています。

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「望郷太郎」4巻より(山田芳裕/講談社)

主人公の強みは、「前世」で経済人として活躍した知識や先見の明を活かして、通貨経済の黎明期の世界を手玉に取ること。

これに原始生活のサバイバルらしいバイオレンス要素が加わってスリリングに。描写ちょいちょいエグいけどね。

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「望郷太郎」4巻より(山田芳裕/講談社)

この「経済力を暴力が全部ひっくり返してしまう」危うさによるバランスが非常に効いてて、続きがとても気になります。

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「望郷太郎」4巻より(山田芳裕/講談社)

そうだ。人間たるもの、金に使われてはダメなんだ。

金は道具だ!人間が金を使いこなしてナンボだ!

だから我慢せずにウマ娘に課金してもいいんだ!(そうじゃねえよ

 

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#カワイスギクライシス 3巻 評論(ネタバレ注意)

宇宙を股にかけて版図を広げるアザトス帝国。

辺境調査・侵略を任務とする宇宙船が地球に接近。凄腕美少女エージェントのリザは先遣調査員として地球に潜入、帝国の地球への対応を決定づけるべく調査を開始。

人類の文化レベルを調査すべく入った飲食店「猫カフェ」で、この世のものとは思えない生物と遭遇してしまう…

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「カワイスギクライシス」3巻より(城戸みつる/集英社)

という、猫を知らない宇宙人が地球で猫に出会ってメロメロになる話。宇宙のペットはあんま可愛くないらしく、猫の可愛さへの耐性ゼロの彼女たちが繰り広げるドタバタコメディ。

猫を通じて地球人の友人が増えたり、母船から追加のエージェントが派遣されたりするけど、基本的に猫・犬・ハムスターなど地球の生物のモフモフな愛らしさに悶絶してるだけの漫画。

ジャンルは「馬鹿馬鹿し可愛い面白い」。

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「カワイスギクライシス」3巻より(城戸みつる/集英社)

リザとその周辺の調査メンバーが相変わらず仕事をサボって、SNSのカリスマ猫飼いに会いに行ったり、ウサギを飼い始めたり、ペット動画チューバーデビューしたり、猫嫌いを説得したりと楽しい日常を送っている間、彼女たちの調査を待つ母船では「猫は地球人を洗脳し下僕として使役する恐るべき生物」「エージェントたちも猫にやられた」との憶測が広まり、ついに最強の戦士が猫と雌雄を決するべく地球に送り込まれることとなった…

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「カワイスギクライシス」3巻より(城戸みつる/集英社)

という3巻。

出オチだった1巻の展開が、手を変え品を変えキャラを変え動物を変え、相変わらず延々と繰り返されますが、3巻にして既に様式美というか。

この先何が起こるかわかってんのに馬鹿馬鹿しすぎて笑ってしまう。

猫だけじゃなくてアザトス帝国人も地球人もみんな可愛いわw 自分は地球人の黒髪長髪で前髪横分けの子が好きです。

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「カワイスギクライシス」3巻より(城戸みつる/集英社)

アザトス帝国、もう地球侵略無理やろというか、地球人が何もしないうちに降伏するんじゃねえかなコイツら。

 

 

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#AGRAVITY BOYS 5巻 評論(ネタバレ注意)

入植先の地球型惑星を探す人類史上最大のミッションのメンバーに選ばれた、アクティブ主人公系、ヒロイン風美少年、変態系インテリ、変態系マッチョの個性豊かな4人の少年達。

出発した2日後に地球で核戦争が勃発したぶん人類滅亡、人類最後の4人に?さらに突発型のブラックホールに飲み込まれ、ホワイトホールで吐き出された宙域の眼前に、目指していた地球型惑星が青く悠然と輝いていた。

地球人の最後の生き残りとして宇宙船をベースに惑星探査を始める彼らの眼前に謎の高次元存在が現れ、彼らに対しちょっとイラっとくる嫌がらせを仕掛けてくるのだった…

という「彼方のアストラ」チックな世界観を舞台に繰り広げられるスペース・サバイバル・ギャグコメディ。なぞらえて「汚いアストラ」とも。

なんかの理由でタイムマシンを作る?買う?ための資金作りに、α・シャンブローの希少鉱石「ダクマタイト」の採掘に乗り出した4人。

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「AGRAVITY BOYS」5巻より(中村充志/集英社)

しかし、ダクマタイトの鉱床が眠る島にたどり着くと、野球そっくりの宇宙スポーツ「ヤ・キウ」のプロチームが1日前からキャンプを張っていたのだった。

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「AGRAVITY BOYS」5巻より(中村充志/集英社)

ということで突然の野球回。自由だなオイw

しかも似てるだけで別のスポーツなのでルールがいい加減でワロタ。

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「AGRAVITY BOYS」5巻より(中村充志/集英社)

野球回が終わると今度は突然の企業ものに。自由だなオイw

連載は既に終了していて、6巻あたりで完結かなと思ったんですが、次巻6巻と7巻の同時発売で完結とのことです。

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「AGRAVITY BOYS」5巻より(中村充志/集英社)

コミックス収録用の尺の調整をとちった再調整なのか、今巻に読み切りや番外編を多数収録。

面白いのに、なんで終わっちゃったんでしょうねコレ。

終わるけど、次も楽しみだわ。

 

 

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#魔都精兵のスレイブ 7巻 評論(ネタバレ注意)

各地に突如出現した門の先に広がる魔都。人を襲う鬼が巣食い脅威となっていた。政府は能力者の女性で構成される「魔防隊」を組織し鬼に対抗する。

男子高校生・優希は帰宅中に魔都に迷い込んだところを魔防隊七番組組長・京香に救われる。彼女の能力は生命体の潜在願望を叶える義務と引き換えに奴隷として使役・強化し戦わせる能力だった。

平たく言うとバトルでこき使われる代わりに勝ったらエッチなご褒美な感じだった。

和月のバトル絵、GS美神の設定とキャラ、ハーレムギャルゲー要素、ジャンプのバトル漫画の定番展開、という感じ。あと乳首!

魔防隊のトップが集う組長会議に合わせるような敵の襲撃。影でそれを操るテロリストの前に降臨した最強の能力者、総組長・山城恋の能力が明らかに。

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「魔都精兵のスレイブ」7巻より(タカヒロ/竹村洋平/集英社)

あの…能力バトルで敵の能力の説明が終わる前に瞬殺するのやめてください…いや、いいよね、こういう演出。

総組長、バトルの強さもいいですけど、ルックスも良いしキャラクターもドSクールで、メインヒロインのバージョンアップ版という感じで良いですよね。

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「魔都精兵のスレイブ」7巻より(タカヒロ/竹村洋平/集英社)

一連の事件を通じて、使役者によって形と能力を変える特異性を総組長に目をつけられた優希。総組長が吹聴して回ったせいもあり、組長クラスが訓練と称して次々と能力の「お試し」にくる事態に。

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「魔都精兵のスレイブ」7巻より(タカヒロ/竹村洋平/集英社)

いやあの、コイツの能力、発動と引き換えに使役者のエロエロご褒美とセットなんですけど、イインデスカ…

そしてついに総組長にも「貸し出し」。

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「魔都精兵のスレイブ」7巻より(タカヒロ/竹村洋平/集英社)

やめなさいシンジくん!ヒトに戻れなくなる!!

そして最強かつドSクールな総組長といえど、エロエロご褒美バーターのルールから逃れる術はなく…ということで次巻に続く。

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「魔都精兵のスレイブ」7巻より(タカヒロ/竹村洋平/集英社)

ちょおおおおおおおお!あと一話!!あと一話だけでいいからそこは載せといてくれよ!!

こんなん待てねえよwwwどれ買えば連載の続きの読めるんだよクソがwww

 

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#2.5次元の誘惑 9巻 評論(ネタバレ注意)

先輩たちが卒業し、高校の一人漫画研究部として日々部室で二次オタ活動に勤しむ奥村(高2♂)。

学校が新入生を迎えたある日、漫画研究部のドアを叩く一人の新入生がいた。奥村と同じく古の名作「アシュフォード戦記」「リリエル外伝」とそのヒロイン「リリエル」をこよなく愛する彼女・天乃リリサは、キャラ愛が高じて高校生になったらコスプレイヤーになることを夢見ていた。

で始まるコスプレ青春もの。

神回だった夏コミケ編が終わって、展開的にはちょっと箸休めというか読者サービス的に夏合宿の巻。

夏だ!海だ!熱めの紅茶だ!意味深なシャワーだ!水着回だ!!乳首券だ!!

という感じで調子に乗って美少女の水着のコマを張ったりなんかすると青春ものでありながら結構エロエロでgoogleが意外と真面目なので広告出稿が止められたりするのでこっちの水着で。

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「2.5次元の誘惑」9巻より(橋本悠/集英社)

ちょっとシリアス展開はお休みかなと思ったんですけど、これだけ美少女の水着姿にまみれつつ、主人公の内面を深掘りしてタイトル回収までしてしまうという離れ業。

普段は昼行灯、いざというときは必ずキーマン、という一種独特の主人公ですけど、ここにきてハーレムラブコメ主人公っぽくなってきつつも、別に何かにも覚醒しつつ、という感じ。

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「2.5次元の誘惑」9巻より(橋本悠/集英社)

作者はこの主人公、どうしたいんですかね。ちょっと気が早いですけど、最終回のエピローグで主人公のその後がどう語られるのか、いまからちょっと興味深い。

夏合宿が終わって更に文化祭編に突入、新キャラも出るよ!

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「2.5次元の誘惑」9巻より(橋本悠/集英社)

ということでコレ系ヒロイン大好きなんですよね自分。スーパークリークとか。

あとは

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「2.5次元の誘惑」9巻より(橋本悠/集英社)

今巻もののぴが可愛かったです。

 

 

 

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#ワールドトリガー 【休載】(ジャンプSQ. 2021年5月号)

今月のワールドトリガーは休載です。

 

自分も年度末の多忙時期にウマ娘にハマって疲れたわ。

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少しのんびりしたいね。

 

前回まではこちらから。

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#さよなら私のクラマー 14巻 【完】 評論(ネタバレ注意)

高校の弱小女子サッカー部に集った才能たち、というスポーツもの定番ストーリー。

大会と大会の幕間というか、再起・合宿回。次に目指すは冬の選手権大会ということで、夏の終わりから予選開始。

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「さよなら私のクラマー」14巻より(新川直司/講談社)

前巻の感想で、

次巻は楽しい楽しい大躍進回でしょうか。楽しみ。

と書いたんですが、なんと今巻で完結してしまいました。

ネットを見てると結構みんなガッカリしてますね。

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「さよなら私のクラマー」14巻より(新川直司/講談社)

サッカーを「よくわかってる」「よく知ってる」プレイ描写と、視座が高くスケールの大きいサッカー観、エモーショナルな感情描写、非常に密度の高い進行でじっくり楽しませてくれて、それだけに話が進むのもじっくりで「ああ、この作者は半生をかけてこの作品でJドリームも俺フィーもキャプ翼さえも超えて、『歴代最高のサッカー漫画を描いた漫画家』になるんだろう」と自分も期待していました。

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「さよなら私のクラマー」14巻より(新川直司/講談社)

Amazonのレビューでどなたかが書いていましたが、「スラムダンク」でいうと神奈川県予選で全国への切符を賭けた綾南戦が始まるところで「俺たちの戦いはこれからだ!」エンドで終わった感じです。

自分は常々、漫画作品が長大化する傾向に疑問ですし、漫画家が一作品に半生をかけないことを批判できる人間なんか誰もいないと思ってる人間のつもりでしたが、それでも「ここで終わるかー…」と拍子抜けというか、消化不良感は拭えません。

14冊も読んだのに、読み足りねー。

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「さよなら私のクラマー」14巻より(新川直司/講談社)

綺麗にまとまっていて、悪くない終わり方です。良作と言って差し支えない完結です。

ですが、めちゃくちゃ言いますけど、自分はあと30年は、この漫画を読んでいたかったです。

「スラムダンク」は読み足りなさも手伝って伝説の作品になりましたが、この作品は10年後、20年後にどう語られているでしょうか。

この作品を終わらせてまで描きたい次の作品がどんな漫画なのか、楽しみにしてますよ、ええ。

 

 

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#GIGANT 8巻 評論(ネタバレ注意)

AV女優・パピコと映画監督志望の高校生・横山田のボーイミーツガールに、未来ガジェット巨大化ツールや超常現象いたずらサイト「ETE(enjoy the end)」が絡む不条理SF。進撃の巨乳。

ETEにより新宿に現れた3体の巨人「サタン」。死刑の恩赦と引き換えに自衛隊と協力し未来ガジェットで巨大化して素っ裸で撃退したパピコ。一躍国民的ヒーローとして超人気タレントに転身。一方アメリカは巨人の駆逐に失敗し、国土を蹂躙される。

アメリカを蹂躙した巨人"サタン"は太平洋を渡って日本に上陸。謎のパンツ一丁の軍人たちがサタンを迎え撃つ中、パピコは横山田の子を妊娠していた…

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「GIGANT」8巻より(奥浩哉/小学館)

というわけでサタンが東京上陸、隅田川流域の勝鬨橋のあたりでゲップが出るほどのバトル回。

ドラゴンボールのフリーザ戦かよってぐらい、セリフは少なく、ひたすら巨人同士の肉弾戦が繰り広げられます。

あれ…漫画ってセリフがあるから面白いと思ってたんですけど、ここまでセリフを減らしても面白いもんなのか?という感覚を久しぶりに味わってます。

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「GIGANT」8巻より(奥浩哉/小学館)

孤軍奮闘していた頃と比べると、パピコの味方も増え応援もされるようになりましたが、この作品にずっとついて回るイヤな予感は相変わらず。

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「GIGANT」8巻より(奥浩哉/小学館)

いやもう全裸や半裸で戦ってんのがもうずーっと心許ないんですよね、この漫画。わざとやってんだろーなコレ。

もう世界観の謎も前巻で解けて、バトルも最終局面、完結も近いんじゃないかなと思うんですけど、相変わらずどうなっていくのか全然予想がつきません。

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「GIGANT」8巻より(奥浩哉/小学館)

「この漫画、どうなるの?」というよりは「この漫画どーすんの」という感じ。

 

 

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#ワンダンス 5巻 評論(ネタバレ注意)

共感性羞恥でダンスを観ることすら苦手な新入生・小谷 花木(こたに かぼく♂)、通称「カボ」。

長身でバスケ部出身、吃音症(どもり)で言葉での自己表現が苦手、他人に合わせて生きつつどこか窮屈さを感じている少年が、高校でダンスに夢中な少女とダンス部と出会う、ボーイ・ミーツ・ディスティニーなダンスもの。ジャンルで言うと「ストリートダンス」でいいのかな?

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「ワンダンス」5巻より(珈琲/講談社)

初心者ながらバスケ経験者で運動神経は良好、長身なのでダンスも映えるという素質持ちの主人公が部活のレッスン、コンテスト、ダンスバトルを通じてダンサーとして開花していくオーソドックスな展開。

今巻は前巻に続き、高校生ダンスバトル大会の、一冊まるごと「試合巻」。

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「ワンダンス」5巻より(珈琲/講談社)

スポーツ漫画にはつきものですけど、正直バトってるだけなので踊った勝った負けたで、あまり物語が進むものではないです。

じゃあどこがっていうと、ダンスシーンのかっこよさと、MOBの解説ですね。

誰だお前みたいな連中がモノローグで語る語るw

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「ワンダンス」5巻より(珈琲/講談社)

詳しくないジャンルなので逆に楽しく読めます。

次巻は因縁の壁谷と対峙する主人公・カボ。

こう、アレよね。踊ってる男の子も女の子もセクシーよね。ってそういう漫画。

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踊るイケメンたち&踊る美少女たち。眼福。

そして誰なんだよお前はw

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「ワンダンス」5巻より(珈琲/講談社)

 

 

 

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#今日のさんぽんた 2巻 評論(ネタバレ注意)

読切「ラスト・さんぽ」が好評で、第一話「お別れ」にリネームして連載化。

関西弁のヘタレまぬけ女子・りえ子と柴犬のポン太のコメディ寄りのお散歩日常漫画。

りえ子・小2〜大2、ポン太・0歳〜12歳の散歩の思い出をランダムに。

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「今日のさんぽんた」2巻より(田岡りき/小学館)

第一話が第一話なので、第一印象でどうしてもりえ子とポン太のお別れを想起してセンチな気持ちになってしまいますが、第二話以降は普通にまぬけな日常もの。

めっちゃ普通に真剣に犬に話しかけるりえ子、人語を理解してモノローグでツッコミを入れるポン太。

一方通行な意思の疎通が生み出すコミュニケーションギャップの可笑しさ、ということになろうかと思いますけど、あんま難しいこと考えずに「んふふっ…」って不気味な笑いを漏らしながら読む漫画。

2巻も変わることなく、他愛なく間抜けで呑気なお散歩の日常。

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「今日のさんぽんた」2巻より(田岡りき/小学館)

りえ子のこの天然具合はなんなんでしょうね。「よつばと!」のよつばにも感じることなんですが。

アホな漫画を描いてる作者は、アホだともたなくて頭良さそうなもんですが、頭良い人って逆に型に嵌まらないアホな子どもの天然の言動の発想をどうやって考えてるんだろう。

シュールギャグとはまた違って、自分の脳みそからでてこなくないです?w

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「今日のさんぽんた」2巻より(田岡りき/小学館)

身近に良いモデルがいるのか、頭が良い悪いとは別の、発想の柔らかさみたいなまったく別の軸があるのか、毎週神様が降りてきているのか。

 

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#のんのんびより 16巻 【完】 評論(ネタバレ注意)

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二度のTVアニメ化に劇場版に、三度目のTVアニメ化も、というメジャー作の11年目。

田舎の小中一緒の分校を舞台に、登場人物は常に見切れてて出番もセリフもほとんどない1人を除いてすべて女子、時間軸が止まったタイトルどおりの日常コメディ、という美少女サザエさん。前々巻で100話達成。

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「のんのんびより」15巻より(あっと/KADOKAWA)

なんと、最終巻、完結です。17巻?特別編となるEXTRAがもう一冊出るとのこと。

時間が止まっているというか、ループしているかのように季節が巡りつつ同じ学年のエピソードが連なる作品で、段々ギャグ色も薄まって日常色というか散文詩のようなエピソードが増えてきて、こういう言い方はアレですけど他に描きたいもののない作家に見え、我々読者ものどかで愛らしい彼女たちの日常をまったりまんねりと楽しむ、一種互助会のようなぬるい関係がずっと続いていくんだろうと思っていたので、完結してあらためて驚きました。

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「のんのんびより」15巻より(あっと/KADOKAWA)

今巻はまるでエンドレスエイトが終わったかのように時間が流れ始め、メガネくんは卒業し、一同は学年が一つ上がり、学校に新一年生が入学し、またあらたな生命が誕生します。

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「のんのんびより」15巻より(あっと/KADOKAWA)

それを除けば、最終話も「こういう最終回になるだろう」と思ったままの「らしい」最終回でした。

折しも季節は春ですね。この季節は毎年なんだか憂鬱です。

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「のんのんびより」15巻より(あっと/KADOKAWA)

永遠に続くような気がして、ずっと「ダラダラした漫画だな」と思っていましたが、いざ終わられると意外と心の準備が全然できていません。

みんなさんは「のんのんびより」が終わった世界を生きていく準備はできていますか?

 

 

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#ハイスコアガール DASH 1巻 評論(ネタバレ注意)

ゲームセンター、特に格闘ゲームに小〜高の青春を捧げた少年少女のボーイミーツガールを描いた「ハイスコアガール」の続編。

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最近は「お嬢様×格ゲー」漫画がちょっとしたブームですが、

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その走りだったと言っていいタイトル。

内容以外に、作品のメタにもトラブルに見舞われ紆余曲折ありつつ大団円にたどり着いた名作の、今回はまったく予想もしてなかった続編。

まったく予想もしてなかったということは、期待もしていなかったということで、ちょっとびっくりしましたね。

何を描きたいんだろうか。

ヒロインは前作の「アテ馬ヒロイン」だった日高小春。サブヒロインながら健気で一生懸命報われない恋をしてて、人気ありましたね。自分も好きでした。

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「ハイスコアガール DASH」1巻より(押切蓮介/スクウェア・エニックス)

舞台はあれから10年以上の後、日高小春は28歳。母校である中学校の教師を務め、一般的に学校生活で抑圧される傾向のあるゲーム(「ゲーミングお嬢様」除く)を、抑圧し取り締まる側になっていた…

前半は思い通りに行かない教師生活に鬱々とする小春の教師生活がメイン。ゲーム要素もほとんどありません。

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「ハイスコアガール DASH」1巻より(押切蓮介/スクウェア・エニックス)

心が通わない生徒たち、不気味な保護者、強権的でシステマティックな上司の校長、他人の顔色を伺うように教師生活を送る小春。

正直前半は、なんでこの続編を描こうと思ったのか、なんで「ハイスコアガール」の冠をつけたのか、訝しく思う内容です。

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「ハイスコアガール DASH」1巻より(押切蓮介/スクウェア・エニックス)

「ミスミソウ」とかも描く二面性を持つ作家なので、そっちの作品なのかな?

が、巻の後半、この作品は「ハイスコアガール」なんだという展開がいきなり燃え上がるように立ち上がります。

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「ハイスコアガール DASH」1巻より(押切蓮介/スクウェア・エニックス)

わー、ハイスコアガールやー。

どうなっていくんでしょう、この漫画。ゲーミング金八先生みたいなるんかな?

ハルオと晶という、強力な切り札を持つ作品でもありますね。1巻にはほぼまったく登場しませんが。

断片的な回想シーンを見るに、小春は19歳の時に渡米して、晶とバイクでアメリカを旅した?ともとれるような描写も。

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「ハイスコアガール DASH」1巻より(押切蓮介/スクウェア・エニックス)

過去作の主人公登場は続編ものの醍醐味の一つですが、どこでどうカードを切ってくるのか、それともそのカードは封印するのか、ちょっとした見ものだなと思います。楽しみ。

 

 

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#紛争でしたら八田まで 5巻 評論(ネタバレ注意)

表紙のメガネ美女、「地政学リスクコンサルタント」の八田百合がクライアントの依頼を受けて世界を股にかけて紛争を渡り歩き、地政学の知識と思考と調査能力と護身術で解決していく、美女!メガネ!インテリ!ハードボイルド!ワールドワイド!なかっけーお仕事もの。

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「紛争でしたら八田まで」5巻より(田素弘/講談社)

ぼっちでメガネで日系で手ぶらのココ・へクマティアル、という感じ。

下品な方の出羽守っぽいというか、ちょっと「ブラック・ラグーン」みたいな洋画吹き替えワールドな感じ。

前巻以来のアイスランド編が今巻序盤で完結、数々の事件で暗躍してきた同業者・カイの宣戦布告を受けて、

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「紛争でしたら八田まで」5巻より(田素弘/講談社)

流れるようにアメリカ編に。

八田の次の仕事は、製造業とともに衰退しつつあるオハイオ州のとある市に対して、再興企画を提案しコンペを行う2社のうちの1社に対するコンサルティング。

アメリカ社会の縮図と言われるオハイオで八田が繰り出した提案とは…

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「紛争でしたら八田まで」5巻より(田素弘/講談社)

自分は地政学に関して無知でアメリカについて知ってることは少ないですけど、まあ漫画一冊読んでアメリカをわかった気になるのは、おそらく間違っていることはなんとなくわかります。

が、切り口と回しが面白くてグイグイ読んじゃいますね。同じ知識はニュース特集や一般書籍などからも得られるんでしょうけど、典型的なケーススタディを漫画でわかりやすく面白く、といったテイ。

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「紛争でしたら八田まで」5巻より(田素弘/講談社)

もう一波乱起こりそうなヒキで次巻に続いて、無学ゆえに伏線から結末を予想することが適いません。中華系企業?大統領選がらみ?

次巻も買って読むしか選択肢がありません。ズルいなぁw

 

 

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