AQM

あ、今日読んだ漫画

河相我聞、ぼくが「かあいがもん」って正しく発音したらどんな顔するだろう

平日の昼下がりのことだった。平たく言うと今日の昼間、2019年6月5日の14時半すぎのことだった。

 

いつものようにオフィスでかっこよくバリバリ仕事をしているように見せかけて、「迷いや決断なんて最近してねえし書くことねえよ」等と考えながら、いつものようにはてなブックマークを閲覧したりアキバBlogをチェックしたりしていた私は腸内に違和感を感じた。

話は逸れるが、「違和感を感じた」という言い回しは重言であるとしてはてな界隈でも度々指摘される表現であり、それを指摘することにリソースが割かれて本題が疎かになるのも度々見かける光景である。

避けた方が良いだろうか?と考えながら一旦「いわかんをかんじた」と入力し変換したところ、5年来の相棒であるMacBookAirはあろうことか「違和感をカンジタ」と変換してくれた。

この5年の付き合いで私が感染症について入力し変換したことが果たしてあっただろうか?一体なんの学習をしているんだ?私は配偶者に浮気をされたような残念な面持ちで「カンジタ」の4文字を削除した。

さらに話は逸れるが、「カンジタ」というのはそもそも正しいのだろうか?確か感染症の名前は「カンジダ」ではなかっただろうか。善は急げとばかりにgoogleで「カンジタ」を検索したところ、驚くべきことに検索結果には同じ感染症を指す表現として「カンジタ」と「カンジダ」が混在していた。

私の認識では「カンジダ」が正しいはずだったが、專門であるはずの医療機関においても「カンジタ」と表記しているサイトが多数散見された。これでは将来実際に罹患して医療機関を訪れた際、医師に「今日はどうしましたか?」と尋ねられた際にどう答えれば良いというのか。

「セックスしてカンジタ…」とでも返事した場合、医師がカンジダ派だった日には、ただのセックスが気持ち良かった自慢をしに来た狂人扱いされてしまう。あるいはSEO対策で、ある感染症について検索結果上位という山の頂点を目指す際に、「カンジタ」と「カンジダ」とどちらの山を登れば良いのか。

なんか飽きてきたので話を2019年6月5日の14時半すぎに戻す。

腸内の違和感は平たく言うと便意であった。私は周囲の人間に「うんこに行く気だな」と悟られないよう、スマホと手帳を手にして「少し上に顔を出してくる」と告げて席を立った。実際に出してくるのは顔じゃなくて尻なのだが。

フロアのトイレは大のための個室が3つ並んでいた。手前2つは使用中だったものの、一番奥が空いていた。私が恐る恐る覗き込んだところ、たまにあるような、前の人間が流し損ねたうんこがぷかぷか浮かんでいるようなこともなく、清潔な様子だった。

私は個室に入り、ドアを閉め、鍵をかけ、ベルトを緩め、チノパンのボタンを外しファスナーを下ろし、くるりと便器に背中を向け、チノパンとボクサーパンツを下ろしながら便座に腰をかけた。

いざぷりぷりしようという、その時だった。

隣の個室から咳払いが聞こえてきた。その咳払いは明らかに「女の声」だった。

オフィスビルの静寂なトイレの個室というところは意外と隣の音が聞こえてくるもので、一体どこから何を出しているのかという盛大な排泄音を耳にすることもあれば、壮年男性の「おうふ…ああ…ぅぅ…」などという聞きたくもないダンディで艶かしげな呻きを聞かされることもある。

しかし「女の咳払い」というのは初めてだった。なんならちょっと可愛かった。

私はぷりぷりするのを一旦中断し、注意深く耳を傾けた。女のように聞こえる咳払いをするおっさんだって、いなくはないではないか。だが、耳を澄ませれば澄ませるほど、彼、いや彼女の咳払いは女だった。

私がまず考えたのは敵の能力者、おそらくは操作系、もしくは幻覚攻撃によって操られた私が、女子トイレに入らされてしまった可能性だった。

私が二番目に考えたのは、敵の能力者、おそらくは操作系、もしくは幻覚攻撃によって操られた女が、男子トイレに入らされてしまった可能性だった。

いずれにしても、見知らぬ女が1メートルほどの距離の隣で咳払いをしている状態でぷりぷりできるほど、私はキモが座っていなかった。

私はうんこを一旦諦め、このわけのわからない環境から距離を置こうと考えた。

しかし仮にここが女子トイレだった場合、個室を出てからトイレ自体から出るまで、誰にも万が一にも見咎められずに脱出することは可能だろうか?

あるいは就業時間が終了し、残業中の職員もほとんどいなくなる深夜までこのまま待つべきではないだろうか。幸いここはトイレの個室であり、ラブコメでありがちな「おしっこ漏れちゃうぅ…」系のToLOVEるじゃなかったトラブルにも対処可能だ。水も供給されておりその気になれば3〜4日の籠城さえ可能だろう。ウォッシュレットから供給される水はギリギリまだ下水ではないはずだ。

私が思考を巡らす間にも、隣の個室の主は女の声で咳払いをし続けていた。それはあたかも、女子トイレに侵入した異物であるところの私を責めるように続き、私の精神をガリガリと削ってくる。まるでうんこではなく咳払いのためにトイレに来たかのような勢いだった。

そう、私が3〜4日このトイレの個室に籠城が可能なように、女もまた3〜4日隣の個室に籠城が可能なのだ。

私の頭の中の天使と悪魔と便意とはてなブログ運営が激しく言い争い、私を迷わせた。←【迷いココ】

「一刻もはやくここから出るべきだ」

「いや、深夜まで籠城するのが安全だ」

「うんこはしてもよくね?」

「これ、りっすんブログコンテスト『迷い』と『決断』に投稿したら20万円あげるよ」

「マジで?」

私は決断した。20万円をもらおうと。【←決断ココ】

私は便座から腰を浮かせてチノパンとボクサーパンツをあげ、チノパンのボタンを留めファスナーを上げ、ベルトを締めて、鍵を開け、意を決してドアを開けた。

ここが男子トイレなのか女子トイレなのかも、隣の席のよく咳する女の正体も、敵の能力者の攻撃も、もうどうでもよくなっていた。

書こう、りっすんブログコンテスト『迷い』と『決断』を。もらおう、20万円を。

締め切りまであと6時間あるのでお前らもなんか書くといい。

話は逸れるが賞金20万円は一体どのように受け渡しされるのだろうか。

基本的にはてな株式会社が私について知っている個人情報は、登録時のメールアドレス程度だ。厳密には、カラースター購入時にクレジットカードを利用しているので、そこから紐づく個人情報は記録されているかもしれない。あとブクマやブログの内容から漫画好きの独身のおっさんでNTR好きぐらいは把握されているかもしれないが、いずれにせよ賞金20万円の受け渡しの役にたつものではない。

私が大賞を受賞した場合に、悪意の第三者が私になりすまして20万円を受け取っている場面を想像し、私はブログの漫画感想文を出典リンクもなしに全文丸ごとコピペ転載されてあまつさえそれを自分が書いたかのようにTwitterで宣伝までするパクリ野郎のTweetに漫画の作者がいいね!を付けて「それ俺!書いたの俺!!」と思った時のような不快感に襲われた。

吐き気に近い不快感を抑えながら、私は募集要項をよくよく確認した。そして「へー、河相我聞って『かわいがもん』じゃなくて『かあいがもん』って読むんだー」と思い、よく「アクメさん」と誤読される自分のIDの境遇と重ね合わせ、誤読されやすい者同士の親近感が湧いた。

話は逸れるが、違和感を感じた私はgoogle検索でわざと乱暴にひらがなで「かわいがもん」と入力してみた。検索結果は「カンジタ」と「カンジダ」のような曖昧さはなく、疑う余地もなく「かあいがもん」だった。

あと話は逸れるが、彼のオフィシャルブログは「聞いてくれ、もうガモンできない。」と言うらしく、なに言ってんだこいつ調子乗んな、と思った。