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#熱帯魚は雪に焦がれる 5巻 評論(ネタバレ注意)

「先輩って けっこうめんどくさいところあるんですねぇ」

「め めんどくさい…?」

「うん ものすごく」

おんや。読んでる人はわかると思うけど、不穏な表紙やな。

愛媛県西部の海辺の田舎町を舞台に、家庭の事情で引越してきてぼっちな小夏が、転校先の高校で高嶺の花気味の帆波先輩のぼっち水族館部に入部してちょっとずつ仲良くなっていく優しい話。

今巻は平たく言うと、田舎町のおとなしくて優等生な女の子が進路に関連して地元を出ていく将来にウジウジ悩んでるだけの話です。なんですけど、家族や後輩との関わり合いの中での心象の揺れを詩情豊かに繊細に描写してて、静かで地味な話なんですけど、こう、日本映画みたいね。

思春期の不安定さというか感傷というか何時か来た道というか、その寂しさは往々にして大人になると平気になったり鈍感になったり忘れてしまったりするんですけど、自分が失くしてしまったかもしれない感性なので、最近こういう感傷ってないなと、そのこと自体をちょっと寂しく思ったりします。「ゆゆ式」のお母さん先生の独白でもそんなんあったね。

読んだら思い出すんですけど、作家の先生たちってその感性を能動的に表現できるのってすごいよね。

 

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