小学館漫画賞受賞作の「恋は雨上がりのように」の作者の新作は、香港・九龍城砦を舞台にしたOLの日常恋愛もの。の皮を被ったSFミステリー?
表紙のメガネ美女は、スイカを食べながらタバコを吸うのが好きな、九龍の小さな不動産屋に勤める鯨井(32)。彼女は同僚の営業マン・工藤に恋をしていた。
描写の大半にはSF色は薄いものの、視力が2.0になる目薬、宙空に建設される空中都市「ジェネリックテラ」の存在など、近未来を感じさせる背景設定にも関わらず、もう存在しないはずの九龍城砦が舞台であるなど、謎の多い日常もの。加えて、1巻のラスト。仮想現実か、ヒロインのインナースペースなんかな、これ?
前作の時から少女漫画のような絵と叙情的な心理描写で、ややもすればモラリスティックな期待をされがちな作家という印象ですが、ディティールの端々に品行方正なだけではない作者の性向がにじみ出てる感じが。
そういえば、前作のスピリッツから今作はヤンジャンに移籍してますね。
九龍城砦、SF、日常、恋愛、不動産屋、OL、ミステリーと、まるでランダムにカードをめくって作品の属性を決めたような組み合わせ。
「ジェネリック」がキーワードでしょうか?