#AQM

あ、今日読んだ漫画

#ケムリが目にしみる 1巻 評論(ネタバレ注意)

「はい!!正しいです!!みなさんの言うこと全部正しい!!

 ただ この瞬間 この瞬間があればいいんです

 1日のうちただこの瞬間だけ『正しくない』ことを許してもらえたら
 私は明日も笑って働けるんです」

葉山かすみ(26)は中小IT企業の事務職OL。上司や男子社員の同僚からの飲みの誘いは断らず、女子社員の同僚からのランチの誘いも断らず、周囲の多少のハラスメントにも目をつむって、押されたら引く「お嫁さんにしたい良い人系ゆるふわOL」を演じて暮らしていた。

唯一のストレス解消は昔の彼氏にドン引きされて以来、誰にも内緒の習慣になっている毎朝起きぬけの一本の煙草。

飲み会でストレスが溜まったかすみは、ノー残業デーの夜の会社に戻り喫煙所で一服していたところ、転職してきた同調圧力に屈しない系の同い年でクールな女性エンジニア・牧村さんに目撃されてしまう。かすみは牧村さんに口外しないよう頼み込むが…

という「女性の生きづらさ」と社会人らしさ、女らしさ、自分らしさがテーマの非4コマのお仕事もの。

お茶出し、噂話、お酌、デリケートな話題、愛想笑い、女の子扱い、セクハラトーク、自信、自分の安売り、煙草の臭い、おめでた、育休、いい奥さん、男のプライド、元カレ、職場のバレンタインデー。

「悪意に無自覚なハラスメント」が描かれる、女性の生きづらさをテーマにした作品はそんなに珍しくありませんが、悪役のセクハラ上司・同僚や男女の対立構造だけではなく、そうした環境に女性が迎合することで共犯関係になってしまうケースも描き、なにより一般論として自己中心的な男性性の象徴の一つである喫煙嗜好をヒロインに持たせて「脛に疵持つ身」にしたことで話が複雑に、あるいは話がややこしくなっているのが面白いな、と思いました。

端的に言うと「煙草を吸うなんて女らしくない!」という言葉にどう応えるべきか、というお話。はてなーらしくなく喫煙者の自分はなかなか興味深く読みました。

答えが出ちゃってる人はあんま参考にならないかもしれず、また1巻最後で既に「本当の私」とか言い始めちゃってるんで、そういう系が「あーあ…」って人はやめといた方がいいかもめ。

微百合ってほど百合でもない、タイプの違うかすみと牧村さんの友情?が、昔あった中森明菜と安田成美のTVドラマを思い出しました。タイトルは忘れた。

 

ケムリが目にしみる 1巻 (まんがタイムコミックス)

ケムリが目にしみる 1巻 (まんがタイムコミックス)

  • 作者:飯田ヨネ
  • 発売日: 2020/03/05
  • メディア: Kindle版

 

(選書参考)

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