日比谷の高層マンションに、作家でイケメンなお父さんと二人暮らしの小学生・知世ちゃんのちょっと詩的でたまにメルヘンな単話の日常もの。1987年連載開始なので「ガラスの仮面」とまではいかなくても結構な長寿シリーズ。
若くに亡くした奥さんを今なお愛しながら忘れ形見の知世を大切に育てるお父さんがとてもイケメン。こういう大人になりたかった。
当初は父子家庭、独身、離婚、働く女性、子どもの居ない夫婦などのテーマで、 理不尽な世間に知世ちゃんが喧嘩を買う、という怒りを原動力にした、はてなのホッテントリみたいなちょっと尖った話が多かったけど、前のシリーズの終盤あたりでメンタル系の話が多くなった後、 特に雑誌移籍後は話も知世ちゃんの性格も顔も丸くなったなあ、という印象。
今巻もファンシーで詩的な、ちせちゃんとお父さんの日常が中心。美しい追憶のシーンで珍しくお母さんの出番が多め。
ですが、同性を好きになってしまった女の子?男の子?の話や、密かに小説を書いている百合子の部下の話、海外で挫折しながら頑張ってるお父さんの元カノの話など、ゆるふわで柔らかい表面の奥に、描きたいことの確固とした芯の硬さのようなものも感じる。
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