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#風光る 最終回(月刊flowers 2020年7月号) 評論(ネタバレ注意)

「神谷清三郎 お前は実に見事な武士であった

 これほどの武士を俺は他にひとりとして知らぬ」

 

良い表紙だね。

 

普段ウチのブログのドル箱記事はFSSの連載の感想記事なんですが、5/28の0時を回ったこの夜半に「風光る」の44巻の感想記事へのアクセスが急増して、

 

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ブログ内のアクセス数ランキングも1位になりまして

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「ああ、『風光る』が終わったんだな」と気がつきました。

自分はいわゆる「単行本派」なので、これまで一度も買ったことのない月刊flowersを買うのはやはりパスして、単行本最終巻を待つつもりだったんですが、「たかが600円ちょいで1分後には『風光る』の最終回が読めるぞ」と思ってしまうと人間我慢が効かなくなるもので、要するに買って読んでしまいました。

 

あんまり慌てて買ったので、

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間違って2018年の7月号を意味なく買ってしまいました。 どーすんだよコレ…

 

さて、最終回が配信されてまだ3時間しか経っていないので、「(ネタバレ注意)」とは言いながらも本当にがっつりネタバレ感想を書くとファンのみんなさんにぶち殺されそうなので、内容に触れずに余韻に浸る程度にしたいと思います。言いたいこと残しとかないと45巻の感想に書くことなくなるし。

 

自分は「三国志」の読み物では北方謙三の手による小説版が一番好きなんですが、完結の仕方がかなり独特で、作者が描きたい人物がかなりハッキリ決まっていました。

劉備、関羽、張飛に、曹操。少し遅れて趙雲、諸葛亮。この中で最後まで生きていたのは諸葛亮ですが、なんと諸葛亮が死んだ瞬間に話ぶった切って短いエピローグの後に完結してしまいます。「その後、魏・呉・蜀がどうなったかなんか知らん!」「描きたい漢(おとこ)が全部死んだらもう描くことなぞない!」と言わんばかりw

 

「新撰組もの」は函館で土方歳三が最期の時を迎えるまでを描かれるのが司馬遼太郎以来の言わば「標準」なんですが、「風光る」においては、もしかしたら沖田総司の死と同時に視点が新撰組から離れて、土方歳三の会津〜函館の奮戦も描かれることなく、セイに焦点を当てた完全オリジナル・完全フィクションの最終回になるかもしれないな、とちょっと思っていました。

反面、この作者がこれまで史実に払ってきた敬意と、清三郎と沖田に対するのと同等に注がれてきた近藤と土方への愛情を思い出すと、まー最後まで描くだろうな、とも思っていました。その場合、セイは函館まで行かねばならないですね。

実際はどうだったでしょうか。

 

なお、北方謙三は「黒龍の柩」という、土方歳三を主人公にした新撰組ものも描いていますので、機会があったらお手に取られてみてください。読んでだいぶ経つので記憶が曖昧ですが、男臭い作風の作家の割りに土方と愛人の関係が意外と細やかに萌え萌えに描かれていた記憶があります。

黒龍の柩 (上) (幻冬舎文庫)

黒龍の柩 (上) (幻冬舎文庫)

  • 作者:北方 謙三
  • 発売日: 2005/10/01
  • メディア: 文庫
黒龍の柩 (下) (幻冬舎文庫)

黒龍の柩 (下) (幻冬舎文庫)

  • 作者:北方 謙三
  • 発売日: 2005/10/01
  • メディア: 文庫
 

「北方謙三」に「土方歳三」で名前もなんか似てんね。

 

漫画の世界でも新撰組は人気で、このブログでもカテゴリータグをつけてますが、「ゴールデンカムイ」「ドリフターズ」あたりでは土方歳三が元気に大暴れしてますし、「るろうに剣心」では牙突で有名な斎藤一に加えて、現在連載中の続編の「北海道編」では永倉新八が登場します。土方も出てこねえかなー。和月の描く回想シーンの土方がまた男前でかっこいいんですよね。

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それ以外だと格闘漫画の「修羅の刻」の2〜3巻が幕末編にあたり、主人公のライバルとして、土方・沖田が美味しい役回りで登場します。沖田に片想いした女の子が、沖田を看取った後に主人公と一緒に土方を追って函館まで行ったりとか。

修羅の刻(2) (月刊少年マガジンコミックス)

修羅の刻(2) (月刊少年マガジンコミックス)

  • 作者:川原正敏
  • 発売日: 2012/10/26
  • メディア: Kindle版
修羅の刻(3) (月刊少年マガジンコミックス)

修羅の刻(3) (月刊少年マガジンコミックス)

  • 作者:川原正敏
  • 発売日: 2012/10/26
  • メディア: Kindle版

この作品でも「沖田と猫」の独自解釈が見られます。

 

だいぶ「風光る」から話がそれました。

 

いやー、王道エンドは王道エンドなんですけど、それにしても最後に爆弾ぶっこんできましたねwww

「瓜二つ」でちょっと「ん?」とはなったんですが、やっぱりどうしても計算合わないので、そういうことなんだろうなと思います。

女性作家らしからぬというか、それこそ北方謙三あたりが描きそうな。反面、むしろ女性作家ならではという気も。

 

1月号に番外編が載って、おそらく最終回とそれを収録して、「2021年早春」に最終45巻が発売予定とのことです。

 

お疲れ様でした、はまだちょっと早いかな。最終巻でまたお会いしましょう。

史実ベースの激動の革命期を生きる男装の麗人で体制側の武人、ということで共通点の多い「ベルばら」との比較なんかもちょっとやってみたいよね。

 

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