#AQM

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#ぼくたちは勉強ができない 17巻 評論(ネタバレ注意)

「ここから…ひとつずつ勉強していこう
 遠回りして遠回りしてすこぶるへたくそな
 『できない』ぼくたちの恋を」

せっかく連作なので前巻の表紙と並べてみました。

同級生ヒロイン3人+先輩ヒロイン1人+先生ヒロイン1人、受験勉強がテーマ、過去の蓄積に立脚した週刊少年ジャンプの最新鋭の看板ラブコメ。

5人のヒロインの誰が選ばれるのか、というハーレムラブコメの最終盤、まさかの「その5」まであるマルチルートエンディングの「その1」うるかルートの完結編。

マルチルート展開については連載時に物議を醸して話題になってるのをネットで見て知ってはいて、みんなさんと同じく思うところも色々あるんですけど、終わってみないとわからないこともあるでしょうし別の機会で考えましょう、ということで、うるかの話をしましょう。

各々が大学進学を決め、卒業を待つばかりとなった唯我たち。海外留学を決め、卒業式当日に海外に旅立つことになったうるかは、中学以来の想いを唯我に告白。一同の卒業とうるかの旅立ちの日が迫る…

ダブルヒロインで始まったラブコメの3話で早くも登場した追加ヒロインで、テコ入れにしてもあまりにも早い登場で「!?」ってなりました。なんで1話から登場しないのこの子…?

文系・理系に対する体育会系ヒロインで、主人公には中学以来の片想い歴最古参で、一途で健気で女友達でいい奴ポジションで、「特に欠点のないヒロイン」と言う感じ。

ラブコメに限らず最近の漫画は「ポンコツ」をフックにキャラに対する読者の好感度を稼ぐのがスタンダードになっていて、そう言う意味で「元気」「一途で健気」という標準装備以外には「卒業後に海外」しか武器を持たされなかったやや不遇のヒロインという印象があります。

この子の欠点って勉強が苦手ぐらいしかないんですけど、進学も体育会系の推薦なのであんま欠点にならないし、唯我とくっつく上で障害というか「許されない」要素もあんまりなく。

片想いを胸に秘めてるところが萌えポイントですけど、片想いってそれぞれのやり方で胸に秘めるものですしね…

「幼なじみは負け属性」との格言がラブコメにはありますが(あるか?)、「お姉さん気取りのポンコツ」「自分を貫き空気読めないロジカル系」「本心を見せない小悪魔系」「ジャージで肉まん歩き食いのクーデレ美人教師」という多士済々な他のヒロインたちに対して、うるかは…「マイルド幼なじみの隠れ乙女な元気系(褐色)」という感じ。クラシックな少女漫画ヒロインっぽい。

そういうヒロインだけに、うるかルートのエピソードも極めて王道でスタンダードなものになりました。唯我の葛藤が中心に描写されるものの、長年胸に秘めた片思いを成就させるスタンダードでクラシックな少女漫画展開。

他の4人のヒロインたちが唯我と彼女のために唯我の背中を押したのも「ぼく勉」らしい見所でしたけど、男性読者の視点を離れて自分が女で「第6のヒロイン」の立場でこの状況で誰を応援するか想像したら、多分うるかだなーと思います。長く一途な片想いが顔に出やすいタイプで、健気でいい奴で、ちょっとこの子から唯我をぶん奪る気になれねえ。彼女にとって最後のチャンスだったってのもあるんですけど。

正直「欠点も障害も少ない」「ほっといても元気に生きていきそう」というメタな欠点のせいで一番報われなさそうと思っていたので、この子の恋が成就するところが見られて良かったなと思います。

 

 

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