#AQM

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#王家の紋章 66巻 評論(ネタバレ注意)

「おお ナイルよ
 久遠に流れる母なるナイルよ

 わがエジプトは永遠に…
 御身の流れとともにあり…」

「ガラスの仮面」と同年、1976年から秋田書店の「月刊プリンセス」で連載開始された少女漫画。

アメリカの財閥令嬢でエジプトに留学中の高校生・キャロルは、古代の墓を発掘したことから王家の呪いを受け、古代エジプトにタイムスリップする。いろいろあって古代のエジプト王・メンフィスと恋仲になり王妃となったキャロル。

その後、アレンジや変化球はあれど基本的に

①キャロルが近隣諸国のどれかにさらわれる
②メンフィスが救出に向かう(戦争)
③束の間のイチャラブ
④なにかの拍子で現代にタイムスリップ(古代の記憶は消えてる)
⑤行方不明扱いだった現代で実家に保護され穏やかな日々
⑥なにかの拍子で古代にタイムスリップ(古代の記憶を思い出す)

の基本的なサイクルを40年60巻かけて繰り返している作品。

華やかで耽美な画面、地中海沿岸〜西アジアを股にかけたスケールの大きい展開に加え、タイムスリップ・異世界転生的なチート要素や、美形の王子たちがヒロインを奪い合う逆ハーレム要素、オラオラ系男子なメンフィスと、後にブームとなる数々の要素を先取りしていた作品。恋愛関係のこじれでよく戦争が起こるのである意味セカイ系でもあるかもしれない。

自分の読者歴は、文庫版で途中まで全部持ってたんですけど処分したり、漫画喫茶でイッキ読みしたりして、キャロルが妊娠するぐらいまでは読んでて、その顛末はネットかなんかで知って、という感じ。

ちょっと話逸れるけど、未完結の作品の文庫版って結構やっかいですよね。コミックスに追いついちゃいけないとかあるんでしょうけど、続きなかなか出なかったりするし。

近刊の刊行ペースは

62巻 2016.12
63巻 2018.4
64巻 2018.6
65巻 2019.6
66巻 2020.6

と「ガラスの仮面」と比べるとだいぶ健康的というか、待つ甲斐がある感じ。

Wikipediaによると作者は85歳だそうです。80代で年イチ新刊出すのすげえな。

ただ連載開始44年ですか?長いんで、Amazonのレビューも比較的高評価が多いものの「小学生のとき読み始めた私も孫が生まれました」みたいな感じで、みなさん完結を見届けずの死を覚悟してて微笑ましい。

10〜20冊分ぐらい飛ばして久しぶりに66巻を買って読みましたけど、サイクルの②の終わりらへんでした。間が空いても致命的な支障がないのがこの作品の強みともいえる。巻頭のあらすじもとても親切。

②の終わりということで高熱にうなされるキャロルを、メンフィスがエジプトに連れ帰るエピソード。ヒロインが半病人でずっとうなされてる中、ナイルを川下り。途中で伏線回収というか「♡コミックス20巻を見てね〜〜〜♡♡♡」という表記があったけど覚えてないので調べたら20巻は1987年刊でした。

33年ぶりに伏線回収するんじゃねえよwww

長くやってるんで絵の癖はちょっとずつ変化してますけど、テイストはずっと変わらず。

毎話の冒頭4ページにわたって下1/4ぐらいの結構なスペースを割いて読者からのお手紙やプレゼントへのお礼などのファンとの交流コーナー(手書き)があるなど、こっちが昭和にタイムスリップしそう。

初期からの伏線、メンフィスが「若くして暗殺された古代エジプトの王」とされる伏線がどう結末に影響するのか。このまま変わらないノリで最後まで駆け抜けて欲しい。

今巻でヒッタイト、アッシリア、バビロニア、ミケーネ、ミノア、トラキア、ヌビアに加え、古代中国もシルクロードを超えて登場しそうな伏線が張られ、まだまだ風呂敷を畳むつもりはなさそうですが。

とりあえずやっぱ元気なキャロルが見たいよねえ。

セールのチャンスを狙ってkindleで全巻買い戻しつつ、おそらく来年の次巻を待ちたいと思います。

自分も最後まで読めるのかわかりませんけどw