動物たちが直立歩行し服を着て暮らす社会を舞台にした何かと示唆に富む青春もの。
主人公はハイイロオオカミのオス。学園内の食殺事件の犯人を決闘で倒し、その過程で友人の足を食った罪に耐えかねて学園を去った、強く不器用で心優しいレゴシ。彼と恋に落ちた魔性の美少女先輩・ドワーフウサギのハル。
肉食と草食が共生する一見理想的な社会の「そう簡単に上手くいかない」部分にスポットを当て、その社会の矛盾に嵌り落ちて苦悩する肉食動物の少年の葛藤、放浪、恋愛観、人生観。
凶悪犯・メロンとの因縁に決着をつけるべく、裏街のアンダーグラウンドバトルの達人・メスウサギのキューに師事するレゴシ。
メロンの幼少期回想、シシ組の現在地、旧交を温めるヤフヤとゴーシャ、ルイに訪れた環境の変化、神社でばったり再会するルイとハル、突然のクイズ大会、メロンの意外な行動。
大エピソードのクライマックスに向けた繋ぎの巻とはいえ興味深い小エピソード群。つーかやりたい放題とまでは言わないまでもフリーダムだなオイw
青春小僧の自分探し禅問答なんて普通にやれば読むに耐えないシロモノになると相場は決まってんですが、「正しくありさえすれば読まれるはず、伝わるはず、認められるはず」という甘えがなくて、メッセージ性とエンタメ性を両立というより飄々と練り合わせて一体化させて不可分なものとする稀有な作品。
どうしてこうなるんでしょう。キャラへの愛着なのか、そもそものテーマ設定なのか、展開の妙なのか、硬軟併せ持つ画風なのか、言葉のセンスなのか、時代性とのリンクなのか。
全部か。全部なのか。
aqm.hatenablog.jp