#AQM

あ、今日読んだ漫画

#葬送のフリーレン 1巻 評論(ネタバレ注意)

「…だって私、この人の事 何も知らないし…
 たった10年一緒に旅しただけだし…

 …人間の寿命は短いってわかっていたのに…
 …なんでもっと知ろうと思わなかったんだろう…」

 

前にアップした記事にいっぱいブクマいただいた際に、

b.hatena.ne.jp

この作品をオススメする人が id:mouseion さん、 id:sun330 さん、 id:ardarim さん、 id:dalk さんの、最多得票タイの4人もいらっしゃいまして、1巻が出るのを心待ちにしていました。

たった4人と思われるかもしれませんけど、一般論として採点は厳しめ弁舌は辛口で有名なブクマカさんたち(穏便な表現)の間で、777ブクマ中の115ブコメのうちの4ブコメを数多ある漫画作品の中から占有した上にスターが10個もつくというのは、もう勝ったも同然です。ありがとうございました。

ちなみにもう1作、同じく最多タイの4人のブクマカさんたちがオススメしてくださったのは「バトゥーキ」でした。

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魔王を打ち倒し平和をもたらしたパーティ。

勇者ヒンメル。戦士アイゼン。僧侶ハイター。魔法使いフリーレン。

王都に凱旋した彼らには、世界を救った功績に対する歓待と、その後の長く平和な人生が待っていた。

そして50年後、老人となったヒンメルのもとに、あの頃と変わらない少女の姿のままのフリーレンが訪れる。再び集まったかつての勇者一行は、50年前の凱旋の際の約束どおり、半世紀流星の星空を眺める。

そして更に20年後──


伝説の勇者一行の中で最も長命種のエルフであるフリーレンが、その後の長い人生で仲間が老いてく間もひとり変わることなく魔法を求めて彷徨いながら、かつての仲間の死と追憶に触れていく異色のファンタジーもの。この1巻の間だけで80年の年月が流れます。

ヒロインからしたら一瞬にすぎない間しか同じ時間を過ごせない、エルフと人間の寿命と時間感覚のギャップの哀愁を淡々と。

このテーマは吸血鬼・不老不死をモチーフにした作品では割りと定番で、自分の体験だと手塚治虫の「火の鳥」はちょっとスケールがデカすぎ、高橋留美子の「人魚シリーズ」は不老不死の相方を得ましたし、「FSS」のソープとバランシェの別れのシーン、あと西森博之の「柊様は自分を探している。」なんかも同じテーマでしたけど、ここまで正面切って時間のギャップによる別れをメインのテーマに据えた作品はちょっと初めて読む気がします。

「ハッピーエンドの後」と「バッドエンドの後」の違いはあれど、生き残った魔法使いの追憶、という意味では「スペクトラルウィザード」も思い出します。時間が押し流してしまった後ではハッピーエンドもバッドエンドもあまり変わらないのかもしれない。

「エモ」い話を抑制的に、日常コメディ色すら見せながら淡々と、でもずっと作品の空気を通底し続けるエルフとヒトとの別れの予感。

読んでいて「長命のエルフが短命な人間と死に別れる度にこんなに泣いていたらキリがないだろう」と思います。だからこそ多くの作品で初対面のエルフは人間に対してクールで愛想が悪いツンデレとして描かれるのかもしれない。

こう、自分が死んだ後もこうして誰かに思い出して欲しい、などと柄にもないことを考えてしまいますね。

 

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