#AQM

I oppose and protest the Russian invasion of Ukraine.

#中卒労働者から始める高校生活 14巻 評論(ネタバレ注意)

「真彩が会わせちゃった…! 真彩がつれて来た

 …
 おにーちゃんのいうとおりにすればよかったよう…
 会わなきゃよかったよう

 うっ えっ 莉央ちゃんがいなぐなっちゃう
 会ったらなにか変わるかもって思っだのに

 おにーちゃんが もっともっともっと
 おどーさんのこと うらんじゃう…!!

 うらんだら つらい のに」

あぁ…

母親を亡くし父親は刑務所、中卒で工場で働く主人公。3つ下のブラコン妹の公立高の受験失敗と職場での学歴コンプレックスがきっかけで、妹と一緒に通信制高校に通うことに。

事情を抱えたヒロイン、親の勧める名門校を蹴って通信制高校に。

2人は惹かれあいつつ、いろんな同級生たちとの交流を通じて、卑屈だった自分と向き合って少しずつ成長していく青春恋愛もの。

序盤の2巻で女の子が陰湿な性暴力の被害に遭うシーンがあるので、そういうシーンを観ると気分が落ち込む人等はこの作品は読まない方が良いです。

主人公たち兄妹の父親が出所、紆余曲折ありヒロインを交えての面会中に主人公の父親が酔って錯乱、ヒロインに怪我を負わせてしまう。信頼してくれていたヒロイン側の父親に「娘と別れてくれ」と告げられた主人公は…

1冊通じてダウナーな巻。

もーっ! って感じです もおぉーーーっ!!

1巻からずーっと受刑者の父を持つことに対する世間の冷たい目やらコンプレックスやら両親を失った経済的苦境やら散々苦労してきた人生から通信高校に入ってヒロインと出会って周囲と交流して12巻かけてコツコツ成長を積み上げてやーっと幸せになりかけたところだったのに、台無しだよ!!

もおぉぉーーーーーーっ!!!

っていうね。ハイ、割りとハマってます。

昨今の漫画作品の中ではズーンと重くて暗い方の青春恋愛もので、割りと苦手なジャンルのはずなんですけど、この兄妹とヒロインの3人だけは幸せになってくれるまで読むのやめらんない。

がんばれってお前ら、いろいろあきらめんな!!

この一連のエピソードが作品最後で最大のヤマじゃないかなーと思うんですけど、どん底も今巻で底を打った感はあるので、次巻以降はハッピーエンドに向けてモリモリのバッキバキに上向いてくれるといいなと思います。

主人公の父親なー…そういえば今巻1コマも登場しなかったですけど、作品的には救済入れるんだろうか…

「前科者という理由で切り捨てられるべきか」というのは「前科者の家族という理由で切り捨てられるべきか」という主人公たちが味わった苦労と微妙に地続きなので、

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「中卒労働者から始める高校生活」14巻より (佐々木ミノル/日本文芸社)

主人公たちの苦労を見てきた読者として安易に「縁を切れ」とか言うべきじゃないんでしょうけど。

前科よりも、過失でヒロインを怪我させたことよりも、回想シーンを見ていても興味が徹底的に自分と亡き妻に閉じていて、主人公兄妹に対する父親としての愛情がまったく見出せないという理由で、縁を切られて然るべきだと自分は思うんだけど。

そういえば前科がなんだったのかも、傷害罪だったらしいこと以外まだよくわかないんですよね。あー胸がざわざわする。

大事なのは父親本人をどうするかより、主人公たちがコンプレックス源である「父親の存在」をいかに超克するか、だとは思うんですが。

 

中卒労働者から始める高校生活 14

中卒労働者から始める高校生活 14

 

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