#AQM

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#ぼくたちは勉強ができない 19巻 評論(ネタバレ注意)

「りっちゃん…ごめん

 わたし…っ 戦いに行く…!」

やっと言ったよこの女。

同級生ヒロイン3人+先輩ヒロイン1人+先生ヒロイン1人、受験勉強がテーマ、過去の蓄積に立脚した週刊少年ジャンプの最新鋭の看板ラブコメ。

最新鋭すぎて実験始めやがったというか、終盤にきてまさかの5人のヒロインごとのマルチエンディング展開。巻頭のあらすじを見るに、前巻のうるかルートが正史扱いで、残り4人のヒロインがifルート扱いのようです。

なお自分はマルチエンディングについては「全部終わってみないとわからない派」です。

ということで文系の文乃ルートエンディングの巻。

自分は一番好きなヒロインはご多分に漏れず真冬先生なんですけど、5人のヒロインの扱いの公平性に配慮したこの作品で一番本命にふさわしいのは文乃で、マルチルートエンドが明らかになる前までは最終的な本命は文乃だろうな、と思ってました。

簡単にいうと好きなのは真冬先生でしたが、応援してたのは文乃でした。

鈍感力の高い登場人物たちの中で、他のキャラの意識・無意識の恋愛感情に敏感で、ずっと「女の友情」のために自分の恋愛感情から目を逸らし続けてきたヒロインで、なんつーか一番せつねーんですよね、この子。

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「ぼくたちは勉強ができない」16巻より (筒井大志/集英社)

あと清楚なルックス、髪型がストライクなのと、同級生ながらお姉さんぶるキャラなのと、その割りに短気なツッコミ役かつ食いしん坊キャラというギャップも好きでした。

割りとラブコメとしてのこの作品を支えてきた扇の要の功労者というか、MVPだなと。

そういう意味で彼女が自分の気持ちを犠牲にして応援してきた理珠とうるかが今巻で彼女の背中を押す展開は胸熱で、唯我と結ばれるラストは感無量です。

なんですけど、自分の妄想の中にしか存在しないTRUE エンドとひき比べて、どうしても、「80点を獲りに行って名作になりに行くことを放棄した」とでもいうか、

「このシーンの彼女に報いるようなラストが、本当はもっと描けたはずだろ?」

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「ぼくたちは勉強ができない」16巻より (筒井大志/集英社)

と思わずにはいられない。

抑制的に5人のヒロインへの公平を貫くある種のプロの決断は敬意に値するけど、ハーレムラブコメは難しい。

 

 

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