一部の魔法を「禁止魔法」として制約した世界の、魔法使い見習い少女たちの修行と冒険、ダークな雰囲気ただよう超正統派ファンタジー。
イレギュラーに魔法使い見習いになったヒロインのココ、その素質を狙って暗躍する禁止魔法使いたち、ココの巻き添えでトラブルに巻き込まれつつ彼女を守って戦う師匠と姉弟子たちの修行と成長の日々。
今巻からは魔法使いの祭典、「銀夜祭」だそうです。ここんとこ続いたシリアス展開に、お祭り騒ぎにちょっと一息かしらね。
ちょっと、なにうちのヒロインをナンパしてくれてんですかこのガキ!
と、思ったら重っ! シリアス〜…お祭り本番は次巻以降に持ち越しです。
というわけで今回のテーマは「持つ者と持たざる者」「魔法使いに求められるコンプライアンス」というところでしょうか。
自制の非常に厳しい、戒律と言っていいルールの下で魔法を操る魔法使いたち。その足下では禁忌さえ犯せば魔法で救える不幸を抱えた人がいくらでもいて、その状況がココに「その戒律に意味はあるのか」と囁きかけます。
キーフリー先生の語りのくだりはどちらかというと「魔法というより、漫画の話をしていますよね?」という感じでしたけど、その後のココたちはどちらかというとIT系のスタートアップのようですよね。魔法を活かしていかに社会に貢献するか。
そりゃユーザのプライバシー情報を無断でごっそりぶっこ抜きゃ、相当便利で高機能なレコメンドが可能なサービスが作れるでしょうね、的な。
ルールや禁則事項というものは基本的に性悪説というか運用する人間に対する「書いておかなきゃ言っておかなきゃ誰かがやらかす」という不信で増えていくもので、この作品の魔法使いたちの戒律や、これに反する破戒の魔法使い「つばあり帽」たちはその歴史を象徴するものです。
漫画「ファイブスター物語」では、クバルカン法国の法王から騎士ミューズ・バン・レイバックに対して、厳格な戒律を超えて最良を選択する「次なる王たる資質」が望まれました。
この作品で作者がココや魔法使いたちに求めるものは果たしてなんでしょうか。
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