

表紙のメガネ美女、「地政学リスクコンサルタント」の八田百合がクライアントの依頼を受けて世界を股にかけて紛争を渡り歩き、地政学の知識と思考と調査能力と護身術で解決していく、美女!メガネ!インテリ!ハードボイルド!ワールドワイド!なかっけーお仕事もの。
ぼっちでメガネで日系で手ぶらのココ・へクマティアル、という感じ。
下品な方の出羽守っぽいというか、ちょっと「ブラック・ラグーン」みたいな洋画吹き替えワールドな感じ。

紛争でしたら八田まで」4巻より(田素弘/講談社)
自分の読書歴で歴史小説から北方謙三を経由してハードボイルド小説方面に足を伸ばした時期があるんですが、派生というかあれハードボイルドにカウントしていいのかよくわからないですけど、一時期「池袋ウエストゲートパーク」(石田衣良)にハマってた時期がありました。TVドラマ版も好きで今でもDVD全巻を後生大事に持ってますけど、そっちじゃなくて原作小説の方。自分の解釈はあれ「若年性ハードボイルド」なんですw
長瀬が主人公を演じたTV版と違って、というか違うわけでもないんですけど、原作小説の真島マコトはエピソードが多いこともあって人格の描写の幅がより広くて、意外と読書家のインテリです。タカシも「Think Globally、 Act Locally」とか口走ってて、ちょっとTV版と雰囲気違うんですよね。
自分の世代は「MASTERキートン」で地政学や軍事の豆知識に触れたクチなんですけど、そういう意味では「紛争でしたら八田まで」はその後継かな、と思ったりするんですけど、主人公の百合を見てると性別もいろんな属性も全然違うのに、なんでか真島マコトがダブって見えます。
なんかこう、一見はクールでドライを気取ってるっぽいくせに内実は人情家で、ちょっとの暴力とあとは知恵と機転と胆力で、トラブルを解決してビターだけどスイートなハッピーエンドを手繰り寄せるところとか。百合が高級取りのコンサルタントなのに対して、マコトは果物屋の無職の息子ですけど。
今巻は前巻に引き続きインド編。

紛争でしたら八田まで」4巻より(田素弘/講談社)
未だ色濃く残るカースト制度に人生を邪魔されて苦しむ若いカップルを、百合が手助けします。
前に進もうとする若者の人生を粋に感じて手助けして、最後の最後のオチは暴力に頼らないあたりも、ヒーロー像として百合を見てるとマコトを思い出すなやっぱ。

「紛争でしたら八田まで」4巻より(田素弘/講談社)
すいませんね、他人の作品になぞらえて「似てる似てる」なんて褒め言葉どころか作家に対して失礼で嬉しくもなんともないでしょうけど、どっちも好きな主人公なので。
今巻も面白かった。
aqm.hatenablog.jp