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#ダンジョンの中のひと 1巻 評論(ネタバレ注意)

父親の英才教育で一流のシーフに成長した少女・クレイは、3年前にダンジョンで消息を経った父親を追って日々ダンジョンに潜っていた。冒険者ギルドの最高到達記録が地下7階なのに対して、シーフギルド所属のクレイはソロで地下9階に到達。かつてない強敵・ミノタウロスと対峙。ミノタウロスが投じクレイが躱した巨大な戦斧がダンジョンの壁を破壊した瞬間から、しかしクレイの世界は一変する。

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「ダンジョンの中のひと」1巻より(双見酔/双葉社)

ダンジョンの秘密を知る立場となったクレイの対応をミノタウロスから引き継いだダンジョン管理人は、クレイに「ダンジョンのスタッフになりませんか?」と問いかけるのだった…

という変化球ファンタジーもののお仕事漫画。

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「ダンジョンの中のひと」1巻より(双見酔/双葉社)

なんかゲームでもありましたね、ダンジョン運営するやつ。なろう系でもよくあるっちゃよくあるんですけど。

ダンジョン運営をまるでディズニーランドのように見立てて、発生しそうな業務を棚卸しして、どんな組織がどんな体制とフローで運営しているか、というのを漫画に仕立てた感じ。

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「ダンジョンの中のひと」1巻より(双見酔/双葉社)

まるでアトラクションの裏方のようなモンスターたちは「ワートリ」のトリオン体的なことで死なないわ、ヒロインは俺TUEEEEだわ、管理人さんは可愛いわで割りとほのぼの風味の予定調和加減ですけど、特に「人間=正義」の世界観でもなくモンスターに敗れた冒険者たちだけはガチで死ぬという匙加減。

管制室からダンジョン全体を監視したり、有力な冒険者をチェックしたり、アイテムを調達して宝箱に補充して回ったり、モンスター控え所の闘技場で修練したり、果ては人間のギルドと外交したりと、精緻ではないほのぼのとした絵に反してよく創られてます。

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「ダンジョンの中のひと」1巻より(双見酔/双葉社)

最初は異世界系の出オチ漫画かなと思ったんですけど、ディティールを膨らます面白さに満ちている漫画。

ヒロイン・クレイの動機の縦軸は「消息不明の父親がどうなったか」ですが、作品全体を通しては「ダンジョンが何のために存在し、何のために運営されているか」がとても気になるところ。この作者がどんな答えを用意してるか、続きを読むのが楽しみです。

 

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