先日出た最終巻で完結した「BEASTARS」のスピンオフ短編集。
1巻はBEASTRAS世界観が共通するだけでキャラや物語は本編と直接関わらない短編ばかりでしたが、今巻は「一応」本編に登場したキャラたちがメイン。
「本編に登場したキャラたち」といっても、レゴシが一人暮らしをしたアパート「コーポ伏獣」の住人たち、というマイナーキャラです。憶えてるかな。
こうして見ると自己紹介の時点で既に面白そうすぎるなこの人たちw
1エピソードを除いて、基本的に本編完結後の時系列のお話とのことです。
第7話 ブタとクジャク
亡くなった動物たちの遺骸を剥製にして後世に遺す剥製師を営むブタのもとに、新たに着任したポリスがパトロールを兼ねて挨拶にやってくる。彼は美しい羽を持つクジャクだった。
第8話 シバイヌとシバイヌ
「絶対的愛され顔」のキャッチフレーズで毎年カレンダーがバカ売れしている美少女アイドルシバイヌは、実はおっさんだった。
第9話 カラスとカンガルー
希少価値や迷信から犯罪の対象になりやすいアルビノの動物たちが安心して暮らせる0地区で出会った、アルビノのカラスとアルビノのカンガルー。
第10話 オオワシとスナネズミ
オオワシは広告代理店バリキャリのスナネズミ女子の通勤退勤の送り迎えの空の脚としてヒモをやっていたが、ある日彼女から「同じ会社のスナネズミと結婚するので出ていってほしい」と告げられる。
第11話 シマリスと(ユキウサギ)
草食動物の心象を繊細に代弁してヒットを飛ばすユキウサギの小説家の元に、新人編集者のシマリスが原稿取りに。
第12話 オオカミとウサギ
オオカミの彼氏とウサギの彼女。彼女は成獣式を前に彼氏にあるお願いをする。
「珠玉の」という枕詞は最近は「短編集」、あとは音楽のベストアルバムなどを形容する言葉として定着して、定着しすぎて大して珠玉でもないものにまで用いられるようになってしまったせいで、すっかり信用ならない言葉になってしまった感じがしますが、それはまあ置いといて、珠玉の短編集。
泣かせようとかいい話を描こうとかってより、ただ切り取って、少し膨らませて、少しオチをつけて、というなんというか自然体のお話ばかりで、それでいて後からじんわりきます。
割りとしょーもない話も普通に並べてて、楽に楽しく読めます。
緊迫感のあった本編も好きでしたけど、こんなこと言ってはなんですけど自分はこっちの短編集の方がもっと好きだなコレ。1巻もそうでしたけど。
本編の主人公たちを出すか出さないかは、「秘するが花」というか切り札というか、割りと大事なカードで悩みどころだねえ、と思ってたんですけど、割りとあっさりカード切ってきましたね。
あとがきによると3巻も出そうです。楽しみ。
aqm.hatenablog.jp
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