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#働かないふたり 22巻 評論(ネタバレ注意)

無職ながら、実家で両親に扶養されながら雲のように風のように楽しく暮らす、兄・守と妹・春子の日常コメディ。

資質に恵まれ、家族に恵まれ、周囲に恵まれ、無職でいることのネガティブな面はあまり描かずに、ニートに関わるドキュメンタリーではなく、精神的なファンタジーに近い。

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「働かないふたり」22巻より(吉田覚/新潮社)

無職は哲学や詩と相性が良いということなのか、哲学的で詩的な毎日。ギャグコメディと、日常あるあると、良い話と、人生のヒントのようなもの。まあ、ファンタジー。

マンネリなのにエピソードは常に新しく、平成後期〜令和の「サザエさん」のようなもの。

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「働かないふたり」22巻より(吉田覚/新潮社)

「無駄は大変」、わかるぅ。

日常ものなんで「続きが気になる」って作品ではないですが、作品のラストをどう締めるのかはちょっと気になりますね。

「少女終末旅行」が載ってた「くらげバンチ」の初期から読んでる作品ですけど、気づけば22巻です。すごいねw

相変わらず代わり映えしない漫画ですけど、面白さも相変わらずです。ニートの日常ものがそうそう代わり映えしたらそっちの方が怖いですね。

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「働かないふたり」22巻より(吉田覚/新潮社)

一昔前の漫画だと、この手の主人公はいわば「雌伏」で、終盤に隠れた才能が覚醒して天才作家デビューとかして地位や名誉や経済的な成功を手に入れたりするカタルシスが定番だったんですが、この漫画は一言で言えば「TAKE IT EASY」、そうした「最終的な成功」を否定はしないものの目指しもしないスタンスの作品なので、そっちには行かないなだろうな、というのはもともとあったんですが、

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「働かないふたり」22巻より(吉田覚/新潮社)

割りと「そうはならない」ことを明言したね、というか、「勝ち」「負け」と言う言葉を、守は意識していなくても作者は意識してるのねw 当たり前か。

正直、自分の感性でいうと「あいつ多分 もう勝ってるよ」のドヤ感、押し付けがましさや説教くささを感じるギリギリのラインを絶妙な匙加減でちょいちょい踏んでくる漫画なんですけど、明らかなアウトは決して踏まないのが面白バランス感覚だな、と思います。

作品として、作者として、言いたいことはわかるんですけど、守の人生が「勝ち」か「負け」かを決めるのは爺さんでも作者でもないだろうし、物差しとして「勝ち」「負け」を使わない、そこから脱却することがこの漫画のテーマだろう、というのが、作者とは解釈違いの自分の解釈です。

この辺、「勝ち」「負け」という言葉を敢えて使って描かないと伝わらない人には伝わらないニュアンスであることも確かなんですが。

「俺向けにはもっとぼかして欲しかった」という話で、読者は勝手ですねw

 

 

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