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あ、今日読んだ漫画

#声がだせない少女は「彼女が優しすぎる」と思っている 4巻 評論(ネタバレ注意)

転校生の少女・真白 音は失声症、声を出すことができない。筆談で会話する彼女に最初こそ話しかけてきたクラスメイトたちも、2週間もすると面倒がって彼女との会話を避けるようになった。

そんな落ち込む彼女にぶっきらぼうに話しかけてきたのはツインテでぶっきらぼうで無愛想なクラスメイト・心崎菊乃。菊乃は他人の心が読めるテレパス、超能力者だった。

という、喋れない少女と心が読める少女の友情を描いたファンタジー日常もの。「喋れない」と「心が読める」の、重くて暗くなりがちなテーマを掛け合わせたら、こんなに優しく楽しく可愛らしい漫画に。

今巻は、文化祭にクラスで劇をやることになったに合わせて、「声を出したくない」もう一人の少女の話。

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『声がだせない少女は「彼女が優しすぎる」と思っている』4巻より(矢村いち/秋田書店)

差別やいじめを題材にした作品というのは自分は割りと苦手でして、たとえハッピーエンドだとしても、その前振りにあたる差別・いじめなどのシーンが読んでいてしんどくなっちゃって、ダメです。似た理由で拷問のシーンがある作品も苦手です。

漫画の裾野が拡がり多様化し求められる社会的価値も向上し、表現上の理由でそうした漫画作品が現れ増えることは一般論として歓迎すべきことだと思いますが、いかんせん私向きではありません。

私だけでなく、見てると、けっこうそうした「エグい描写が苦手」な読者は多いように感じます。

この作品も「失声症でぼっちな少女」「テレパシー持ちでぼっちな少女」を主人公に据えて、差別やいじめに近接するテーマではあり、時に人間の持つ暗黒面に近づいていく瞬間というのはあるんですけど、

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『声がだせない少女は「彼女が優しすぎる」と思っている』4巻より(矢村いち/秋田書店)

作品全体を通じて、暗黒面の淵に立っても、中に飛び込む描写を注意深く避けてくれている、「優しい世界」の作品に終始してくれている漫画だな、と思います。

フィクションは現実や人間の暗部を抉り出してこそ、という考え方もある反面、フィクションでぐらい優しい世界でもいいじゃない、というか。

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『声がだせない少女は「彼女が優しすぎる」と思っている』4巻より(矢村いち/秋田書店)

ある意味ぬるい作品ですけど、自分みたいなのにはちょうどいいぬるさだな、と。

高校の文化祭、失声症のヒロインは劇の主役に、声を出したくない少女はその声をリアルタイムで吹き替えすることになりました。

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『声がだせない少女は「彼女が優しすぎる」と思っている』4巻より(矢村いち/秋田書店)

些細な話ですけど、どうなるのかちょっと気になりますね。

 

 

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