5歳ぐらいの少女・カナカは他人の心が読めるテレパス持ちで幼少期以来、「家族八景」の七瀬のようにその能力に苦しんできた。
唯一の理解者だった祖母が亡くなり、親戚をたらい回しにされた挙句にその能力を金儲けに利用しようとする男に引き取られかけたカナカは裸足で逃げ出し、公園で元ヤンの経歴と恐ろしい外見に反して単純バカだが裏表のない綺麗な心を持った男・マサと遭遇する。
マサもまたカナカの遠縁で、またヤンキー体質で頼られたら捨て置けない性格だったこと、カナカ自身が強く望んだことから、カナカはマサに引き取られ、マサが営む居酒屋で暮らすことになった…
という、西森博之の新作は「テレパス少女もの」+「血の繋がらない父娘もの」。
日常回を中心に、散文的というか行き当たりばったりに見える展開ですけど、作劇のプロセスがなかなか読めない作者で、過去作でも行き当たりばったりのようでいて後になって結構計算高く伏線を張っていたことがわかることが多いので、先々の予想がつきません。
いつどこでどんな終わり方をするのか全然予想がつかない、メタなスリルがある作家。
基本的に「カナカ可愛い」で成り立ってる漫画ですけど、セカンドヒロインにマサの同級生?で腐れ縁でベタ惚れの脳が腐ったツンデレさん登場。
ツンデレキャラ自体はこの作者が描くのは初めてでは決してないですけど、世に言われる「ツンデレ」がテレパス少女の視点から極端に戯画化されてて面白いんですけど、大丈夫なのこの人www
割りと日常回気味の巻ですけど後半には1巻登場の悪役が再び登場。
ドラマを作るのが悪役起点の作品が多い作家ですけど、今作は視点がテレパス少女におかれてることもあって、良い人風の悪い人、悪い人風の良い人という、人間の二面性というか見た目とのギャップがポイントになってる感じがしますね。
また作品の特異点は一見ヒロインのテレパス少女のようでいて、一番の特異点というか「高嶺の花」ポジにマサが置かれている妙な漫画。
「攻殻機動隊」の「エスパーより貴重な才能」という言葉を思い出すわ。
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