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あ、今日読んだ漫画

#トニカクカワイイ 17巻 評論(ネタバレ注意)

基本は理系天才フリーター・ナサくんと、謎多きクール美少女・司(つかさ)さんの、なんか可愛い男の子と女の子の新婚生活ラブコメ。

SFファンタジーな「かぐや姫」伝承にまつわり不老不死であることを匂わせつつ隠してきた日常ラブコメの、隠してきたその謎の真相が「第一部 完」として15巻で明らかに。

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「トニカクカワイイ」17巻より(畑健二郎/小学館)

第二部に入るのかと思いきや、その助走とでもいうべきか、前巻・今巻と15巻の後日談のように、でも時系列は過去回想エピソードを叙情的に。

今巻はナサくんの前代として司を支えた時子のエピソード。

要するに、1巻の時点で読者が予想した「作品終盤でナサくんが果たすであろう役割」を、時子が既に果たしていた、というお話。人生をかけて。

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「トニカクカワイイ」17巻より(畑健二郎/小学館)

あの冗長な日常ラブコメはなんだったんだというくらいここ数巻はアクセル全開で、構成やここぞというときのタイトル付けを見るに、ポップなラブコメ描写や猥雑なオタクネタの奥底で、この作者が万感に迫るとても叙情的な物語の語り手であることが示されます。

ラブコメ漫画としてポップな上手い絵を安定して描く人で、一番大事な「女の子を可愛く描く」も十分に備えた漫画家さんですけど、むしろ、なお画力が追いついてないというか、描きたいことに対して描ける絵がポップでライトすぎてミスマッチなのではないかと、そんなことを感じさせる、この作家の本質ともいうべき重く深い物語の叙情性、感情の行間。

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「トニカクカワイイ」17巻より(畑健二郎/小学館)

なにかこう、命、生きるということ、うまく言葉にできないですけど。

この一冊で時子編が完結する構成も良いし、タイトル「青空」、泣けます。

 

 

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