

室町後期(戦国初期)の武将、北条早雲の幼少期からの伝記もの。享年64歳説を採用。
中世代を舞台にした作品ながら、現代の話し言葉を大胆に採用、横文字もガンガン出てくる。おっさん達の政争劇は作者の本領発揮なイメージ。
北条早雲の伝記を漫画の上手のゆうきまさみが、の時点で面白いに決まってんだけど、日本史の中でも複雑で難解なことで有名な応仁の乱がらみ。渋すぎるテーマをどう捌くのか。
京都の戦乱が地方に飛び火。兄の死で伊勢備前守家の嫡男に繰り上がり、新九郎も領主である父の名代、次いで正式に当主を継いで領地・荏原郷(岡山県井原市)へ。
大失恋も経験して、いわゆる「平盛時禁制」も描かれ、荏原郷編も完結。いや、完結の割りには荏原郷におるな。
ということで、ついにというか、ようやくというか、

「新九郎、奔る!」8巻より(ゆうきまさみ/小学館)
駿河下向編、開幕!
義経で言ったら8巻にしてようやく五条大橋で牛若丸と弁慶が出会ったぐらい? っつったら少々大袈裟か。
と思ったら、いわゆる「駿河下向」は次巻からで、今巻はその前フリ巻。
応仁の乱をおっ始まった責任者の有力者たちが次々と病死。将軍の側で権勢を振るい作品初期の情勢を動かしていた、新九郎の叔父・貞親も57歳で病没。

「新九郎、奔る!」8巻より(ゆうきまさみ/小学館)
57歳って今のゆうきまさみより年若いんですけど、こんな老人然と描写するの、抵抗ないもんなんかね、と思ったり。
気になる新キャラも登場。

「新九郎、奔る!」8巻より(ゆうきまさみ/小学館)
このお姉さん、今後も出番あるんかしらね?
造型といい人柄といい、妙に力の入った描写のされ方ですけど。
ということで、「駿河下向」の前フリとして、新九郎が初めて駿河の地を訪れ、今川家や関東の情勢が語られる巻。

「新九郎、奔る!」8巻より(ゆうきまさみ/小学館)
京都の有力者たちの世代交代、今川家の情勢、関東の情勢と情報量が非常に多く、読み応えのある巻でした。
この漫画を楽しむコツとして、じっくり時間をかけて、ナレーションも舐めるようにじっくり読みましょう。
字も非常に多いんですけど、読み飛ばして絵だけを追い出した瞬間に面白くなくなります。
さながら大河ドラマを観るかのように、お茶でも淹れて、45分ぐらいかけてじっくりと…って、

「新九郎、奔る!」8巻より(ゆうきまさみ/小学館)
作者もがっつり大河ドラマ気分でワロタ。
aqm.hatenablog.jp