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#ラジエーションハウス 11巻 評論(ネタバレ注意)

幼い頃にそれぞれお医者さんとレントゲンの人になって患者さんたちを助ける約束をした女の子と男の子。男の子は約束を果たしさらに研鑽を積み天才的な技量を持つ放射線技師となり、果たして女医になっていた女の子が務める病院に遂に採用された。が、女の子は約束どころか、男の子のことさえ憶えていなかった…男の子は平凡な技師を装いながら、女の子を陰ながら支えるのだった…

というボーイ・ミーツ・ガール・アゲインなラブコメ医療ドラマ。「今日のあすかショー」のモリタイシの現作、原作・監修は別の人。

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「ラジエーションハウス」11巻より(モリタイシ/集英社)

放射線医と放射線技師の両方が監修に。

前巻に続いて、主人公を気に入らない病院の偉い人系の小細工というか指図を受けての医療機器の出入りの営業さんによるスパイ大作戦。

若くして妙に優秀な放射線技師である主人公の秘密を暴け!の巻。

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「ラジエーションハウス」11巻より(モリタイシ/集英社)

「白い巨塔」あたり以来の影響か、「医者と医療業者」というと「癒着!癒着!」という、なにか利害で結びついた不正の温床のようなイメージが強く、このエピソードも割りとそうしたイメージに引っ張られた感じかなと思ったんですけど、

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「ラジエーションハウス」11巻より(モリタイシ/集英社)

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俺も取引先の恋愛相関図を作る仕事してえwww

医療の仕事に誇りと愛着を持っている人が監修が入ってるから、というわけでもないんでしょうし、「医療の現場に不正は存在しない」と言ったらそれは嘘でしょうけど、この作品は医療に携わる人間たちを信じているというか、「医療の現場で頑張る人間たちの姿を見せたい」というか、性善説で読み味が爽やかで良いですね。

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「ラジエーションハウス」11巻より(モリタイシ/集英社)

小物の悪役かと思ったら良い奴だったなんてずるいぞお前!

医療にまつわるフィクション作品に必ずしも「病院・医者もの=不正」とセットで語る必要はないと思うんですよね。そういうルポ、ドキュメンタリー、ジャーナリズム的な作品も必要で当然在っていい反面、こういう作品も在っていいと思うんですよね。

似た話はこの作品よりもむしろ警察ものの「ハコヅメ」でもよく言われるんですけど、すべてのお仕事ものが必ずしも業界の闇に光を当て「ねばならない」わけではないと、自分は思うんですが。

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「ラジエーションハウス」11巻より(モリタイシ/集英社)

多少綺麗事ばかりの難はあれど、お仕事の地味だけど誠実な「あるべき姿」を楽しく興味深く描く作品って、それはそれで意義があると思うんですよね。

自分も目に見えないかもしれない誰かの役に立てるように、自分のポジションなりにお仕事がんばろう。

 

 

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