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#邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん Season6 評論(ネタバレ注意)

高校の「映画を語る若人の部」に入部したプレゼン下手の映子が、毎回好きな邦画を1本トンデモ説明でプレゼンして部長がツッコむ話。

今巻のお題は

・「ネズラ1964」

・「スマホを落としただけなのに囚われの殺人鬼」

・「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」

・「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」

・「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」

・「やるっきゃ騎士」

・「パッドマン 5億人の女性を救った男」

・「サムライマラソン」

・「虫が演じるシェイクスピア ロミオとジュリエット」

・「STAND BY ME ドラえもん」

・「GAMERA1999」

全エピソード面白いですが、自分は今巻については「エヴァ旧劇」「エヴァQ」「シン・エヴァ」の3編で構成される一連のエヴァ編のお話だけをします。

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「邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん Season6(服部昇大/集英社)

新キャラを交えつついつものとおりコメディ進行なんですけど、同じ時代に同じものを観て過ごした者として、図らずもちょっと泣いてしまった。

 

「映画を語る若人の部」を覗き込む不審者と思われた中年男は、この高校のOBかつ化学教師・江波(えなみ)。

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「邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん Season6」より(服部昇大/集英社)

かつてこの部室で"オタクに優しいギャル"的な先輩と2人、「エヴァ研」として高校時代を過ごした男が語る、エヴァと過ごした半生と、先輩への長い長い片想い。

高校卒業後、先輩との日常的な交友は途切れたものの、「エヴァ」の新作映画の折り、たまに先輩からのお誘いで一緒に映画を観に行った江波。

しかし、江波と先輩が一緒に観に行った機会は、よりによって「旧劇」と「エヴァQ」だった…

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「邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん Season6」より(服部昇大/集英社)

「エヴァ」新作の出来とリンクするように浮き沈みする、江波と先輩のもどかしい関係。

 

「シン・エヴァ」のとき、SNSでの感想によるネタバレに対する配慮が話題(公式が「そこまで配慮してくれなくてもいいのよ!」とw)になりましたが、自分はネタバレされるのもイヤだったこともさることながら、一刻も早く観たかったので初日に観に行きました。

にも関わらず、その後ネットに数多く上梓された「シン・エヴァ」の感想・評論、あるいは「エヴァ」と過ごした青春・半生の回顧録を、まったくと言って良いほど読みませんでした。

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「邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん Season6」より(服部昇大/集英社)

こんなブログをやっていてなんなんですが、自分は読んだ作品に対する他人の感想や評論にあまり興味がありません。

基本的に作品に対する気持ちや評価というのは極めてパーソナルなもので、交流や議論によって擦り合わせて形を調整するようなものではないのではないかと思っていて、特に「エヴァに対する気持ち」は触れていた期間も長く思い入れが深い分だけ、パーソナルなまま形を変えずに置いておきたい気持ちがより強いです。

世間や他人の評判がどうであろうが、自分が面白いと思えば面白いし、面白くないと思えば面白くない。

加えて、出来の良い評論や感想エッセイほど自分の心象を侵食してきて、まるで「初見の時から自分もそう思っていた!」と錯覚させられるかのように、自分の心象が上書きされてしまうのもあんまよろしくないです。

「エヴァが終わったこと」にヘトヘトだったこともありますが。

 

ですが、今巻の江波にまつわるエピソードは自分とはまったく無関係な彼の極めてパーソナルな体験で且つ創り話にも関わらず、「日本中のどこかで(もしくはあちこちで)あったかもしれない物語」として普遍的で、また大変心を打つもので、「エヴァに対する自分の印象が外的要因によってポジティブに上振れてしまうなー」と思いつつも、「他人のパーソナルな感想や評論に触れてみるのも悪くないのかもしれない」と思わされるものでした。

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「邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん Season6」より(服部昇大/集英社)


大袈裟なことを書いてますけど、コメディタッチで笑えるいつもの「邦キチ」です。

ラブストーリーとして考えても、"オタクに優しいギャル"から始まり、この作品らしくコメディらしい、予定調和の中でご都合主義で片付いたベッタベタのベタです。

ただ人によっては、この「あったかもしれない物語」がパーソナルな琴線に触れて「笑える」に加えて「ちょっと泣ける」がついてくるかもしれません。

こういう「オタク趣味の同好の士だった異性(もしくは同性)との恋愛未満の思い出」にまつわる懐古や後悔ってありふれて、というより割りと普遍性があるテーマで、自分も過去に心当たりがあって、余計に何か琴線に触れてしまったのかもしれない。

この感情、別の何かを読んだ時にも感じたように思って考えたら、「ハイスコアガール」だわ。

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「邦画プレゼン女子高生 邦キチ! 映子さん Season6」より(服部昇大/集英社)

熱いw お前そんなキャラじゃないだろw

しかし、返す返すも、江波と先輩が一緒に観に行った作品に「エヴァ破」が含まれていなかったことが、他人事ながら悔やまれてならない。

 

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