AQM

あ、今日読んだ漫画

#SPY×FAMILY 8巻 評論(ネタバレ注意)

凄腕スパイ・暗号名「黄昏」に下った新たな指令は、妻と新小学生の子どもを調達して敵国の名門校のPTAに潜入し、平和を脅かす危険な黒幕に近づくこと。

任務のために孤児院で適当に選んで引き取った娘・アーニャは、他人の心が読める超能力者だった。

ひょんな縁からトントン拍子で任務のために妻に選んだおとなしげな美女・ヨルは、凄腕の殺し屋だった。

互いに正体を隠して家族になった3人。人の心が読めるアーニャだけがひとり全てを知り、新しいスパイの父と殺し屋の母に「わくわくっ…」としていた。


前巻終盤からの続きで、豪華客船編。

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「SPY×FAMILY」8巻より(遠藤達哉/集英社)

殺し屋・ヨルの新たなミッションは、亡命を図るマフィア・ファミリーの生き残りの母子を殺し屋たちから護衛することだった!

ついでに黄昏とアーニャも、福引で当てたクルーズ招待券で同じ船に乗り込んでいた!

という。

前々から、基本的に知能犯コメディ(犯?)なこの作品において、ヨルの「戦闘になれば無敵無敗」という殺し屋設定は「アーニャの無敵のボディガード」以外の使い途がなくて、作者が使いあぐねて浮いて見えてたんですが、本エピソードではガッツリと「殺し屋ヨル」のエピソード。黄昏とアーニャは完全に脇役。

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「SPY×FAMILY」8巻より(遠藤達哉/集英社)

「子どもが心の中まで見ているファミリーもの」の「主役の1人で殺し屋」という立ち位置上、読者の感情移入を阻害しないよう「よくわからないけど正義っぽい殺し屋」的なわけのわからない存在だったヨルの、殺し屋でいることの動機・モチベーションがようやく深掘りされました。

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「SPY×FAMILY」8巻より(遠藤達哉/集英社)

砂漠に水を撒くような決意がどこか悲壮で、ちょっと泣けます。


殺し屋が登場する漫画ってとてもたくさんあるんですけど、ほとんどは

・世界観設定やキャラ設定がそういう世界観(裏社会)なのでセーフ

・ギャグコメディなのでセーフ

みたいな感じで、一般社会や家族と繋がりを持ったまま倫理の狭間で葛藤したり、自分の仕事の正義感や使命感や生命倫理で揺れたりする描写がある殺し屋って実はほとんどいないので、

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「ザ・ファブル The second contact」1巻より(南勝久/講談社)

この作品のヨルと「ザ・ファブル」は、「家族」と相性の悪い殺し屋キャラをどう持っていくのか、少し楽しみだな、と思います。

なんというか「家族」「子ども」「平和」「生命」などの概念が、相性の悪い「スパイ」「殺し屋」たちをそれでも人間らしく誇り高くあるよう引き留めている、というのがこの辺の作品のテーマなのかな、と。


そんなん言いながら、今巻のヨルの仕事も「振り払う火の粉を払う正義のボディガード」で、見ず知らずの人間を使命や報酬のために殺す「殺し屋」の仕事ではないような気もしますけれども。

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「SPY×FAMILY」8巻より(遠藤達哉/集英社)

バトルというよりは「殺陣」と呼びたくなる一連のアクションシーン、かっけえね。

 

 

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