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#千年狐 六 ~干宝「捜神記」より~ 評論(ネタバレ注意)

古代中国で千年生きた九尾の狐・廣天たち精怪(妖怪)と人との交わりをコミカルにシリアスにロマンチックに。ジャンルレス。

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「千年狐 五 ~干宝「捜神記」より~」より(張六郎/KADOKAWA)

主人公・廣天の出生にまつわる悲喜劇のエピソード群が前巻までで一旦完結しまして、平穏を取り戻した廣天たち。

だが住まいとする墓陵の改修工事で一時的に立ち退くことになった廣天たちは、友達の家に泊まりに行ったはずが流れ流れて、なぜかお金持ちが主催する道術の天下一武闘会的なやつに参加することに。

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「千年狐 六 ~干宝「捜神記」より~」より(張六郎/KADOKAWA)

わけのわからない展開で、今巻は対戦相手の術士・導士たちと次々と相対する、前巻の続きの展開。

後の巻に続く不穏な伏線はありつつも、基本的に膝から崩れ落ちるようなギャグコメ展開です。

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「千年狐 六 ~干宝「捜神記」より~」より(張六郎/KADOKAWA)

不条理ギャグコメはこの作品の大きな売りで楽しく読めますけど、もう一つの大きな売りの哀愁に満ちたシリアス面からいくと、このエピソード自体が突発的というか今のところ必然性の薄いエピソードで、

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「千年狐 六 ~干宝「捜神記」より~」より(張六郎/KADOKAWA)

どうして作者がこのエピソードを選んだか(もしくは創ったか)、今のところ判然としません。

次巻、このエピソードの大きな動機なんであろう、天下一武闘会的なやつの主催者にスポットが当たった上でエピソード完結しそうな塩梅。

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「千年狐 六 ~干宝「捜神記」より~」より(張六郎/KADOKAWA)

膝から崩れ落ちるような不条理ギャグコメと、悲しく美しいシリアスエピソードのギャップ、両方揃ってこそ最大の魅力を発揮する作品なので、ひとまず次巻をお楽しみに、という感じ。

 

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