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#GIGANT 10巻 【完】 評論(ネタバレ注意)

AV女優・パピコと映画監督志望の高校生・横山田のボーイミーツガールに、未来ガジェット巨大化ツールや超常現象いたずらサイト「ETE(enjoy the end)」が絡む不条理SF。進撃の巨乳。

ETEにより新宿に現れた3体の巨人「サタン」。死刑の恩赦と引き換えに自衛隊と協力し未来ガジェットで巨大化して素っ裸で撃退したパピコ。一躍国民的ヒーローとして超人気タレントに転身。一方アメリカは巨人の駆逐に失敗し、国土を蹂躙される。

アメリカを蹂躙した巨人"サタン"は太平洋を渡って日本に上陸。謎のパンツ一丁の軍人たちがサタンを迎え撃つ中、パピコは横山田の子を妊娠していた…

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「GIGANT」10巻より(奥浩哉/小学館)

今巻で完結。

「B級ノリ」が好きな作家性が遺憾無く発揮された漫画で、ショッキングな絵と「この先どうなるの?」という、正しく漫画らしい興味で強力に読者の目を惹きつける作風。

反面、無理に美談に持っていかない主義というか、描きたいシーンを描き切ったら「読後感なんか知るか」「今まで面白かったんだからいいだろ」と、読者の「キャラに幸せになって欲しい気持ち」みたいなもの、「オチをつける」的なことは投げっぱなしジャーマンで放り投げる癖があるようにも思っていた作家。

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「GIGANT」10巻より(奥浩哉/小学館)

なんかどっか「物語」というものに斜に構えてる印象がずっとあって、あんま過去作のラスト、読んだはずなのに憶えてないんですよね、この人の漫画。途中のすんごいシーンは憶えてんですけど。

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「GIGANT」10巻より(奥浩哉/小学館)

今巻はちょっと「どうしたの?」ってなるぐらい、美談オチのために無理やり取ってつけたようなものすごいちゃぶ台返しキメてるように見えるんですけど、コレ多分、当初からの構想どおりなんですね。

主人公の少年が、カメラ(視点)としての役割と、恋人としての「パピコの心の支え」としての役割以外は、物語に対してビタイチ役に立ってこなかったんですけど、「映画監督志望の少年」という伏線というか属性が、ようやく、ようやく回収されて物語に対して役に立ちました。

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「GIGANT」10巻より(奥浩哉/小学館)

「美談オチのために無理やり取ってつけたようなものすごいちゃぶ台返しキメてる」ように見えるのがまた、「B級ノリ」にマッチしてて好きだなあ、この終わり方。

エピローグも兼ねたような最終章、シーンごとに情感こもってて、それが移ろっていく様の描写が読んでて「うん、うん」って感無量。

なんつーかアレだよね、シンプルに「あー面白かった!」っていう。

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「GIGANT」10巻より(奥浩哉/小学館)

漫画って、娯楽だわ。良い「ボーイ・ミーツ・ガール」を読んだ。

面白い漫画って、面白いわ。

 

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