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#悪役令嬢転生おじさん 3巻 評論(ネタバレ注意)

異世界転生ものや悪役令嬢ものは何しろ数が多く全部読んでたらキリがないので、よっぽどのことがない限り読んでないんですが、1巻がなんかよっっっっぽど話題になってたので手に取った作品。

乙女ゲーやってる娘ともリビングでオタク談義を交わす程度にオタク文化に造詣が深いバーコードハゲの公務員のおっさん(52)はトラック的なやつに轢かれた的なことで乙女ゲーの中の悪役令嬢に転生してしまった!

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「悪役令嬢転生おじさん」3巻より(上山道郎/少年画報社)

王侯貴族の子女が集う学園で、平民出のヒロインを虐める役どころの悪役令嬢だったが、おっさんはついつい地の人の良さと「娘の親」目線が出てしまい、乙女ゲー内の貴族学園はおかしな方向に展開していく…

という、異世界転生+悪役令嬢+生徒会+異世界おじさんな欲張りセットな漫画。基本、コメディ進行です。

1巻が面白かった反面、グッドアイデアで生まれた作品は出オチの一発ネタになってしまうことが多いんですけど、2巻ではゲームの世界にお父さんが転生したことを妻と娘が認知しゲーム画面を通じて主人公のおっさんを観察するまた新しい仕掛けが。

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「悪役令嬢転生おじさん」3巻より(上山道郎/少年画報社)

初期設定が2巻までで定義されて、今巻から非日常な異世界日常ものとしての通常モードクルージングに入った感じ。

設定頼りの出オチ期が過ぎたら、「回し」のオペレーション、漫画家の腕の見せ所、というところなんですが…

多くの異世界チートが一見ほのぼのな作品ですら承認欲求の代償行為、「敵から恐れられ味方や大衆から敬われ(主人公がどう思っていようが性別がどうであろうが)あわよくば美少女(美少年)とセックスしたい」という下心で成り立ってるとしたら、この漫画は本質的にあまりにも牧歌的です。

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「悪役令嬢転生おじさん」3巻より(上山道郎/少年画報社)

主人公がすべてのキャラに対してあまりにも「無償の愛を注ぐお父さん」で、「あわよくばセックスしたい」的な下心がまったく感じられません。

「普通」の異世界チートが背脂ギトギトの豚骨チャーシューメンだとしたら、この漫画はうどん。贔屓目に見ても昆布うどん。

絵柄から見るにコロコロボンボン的なジュブナイル出身の作家さんだと思うんですけど、ギャグコメディも相応に牧歌的で、今時の作品群に比べて刺激が少ない。

が、その代わり作者のお人柄を反映してのことか、とても胃に優しいです。

刺激を求める向きにこそ少々退屈な作品かもしれませんが、連日アブラマシマシのチャーシューメンばっかり食ってる人には、意外とじんわり沁みる美味しさかもしれないな、と思ったり。

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「悪役令嬢転生おじさん」3巻より(上山道郎/少年画報社)

なんやろな、この誰も傷つけない、誰も欲望の対象にもしない、ちょっとモッサいけど無償の思いやりで成り立ってる優しい世界。

まだ3巻だけど、既に「悪役」関係ねえなこれ…

 

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