いろいろあってタカハシと結婚したシゲカヨ。約20年後、タカハシから離婚を切り出されるシーンから物語は始まる。
駆け込む先は相変わらずフクちゃん家だった。駆け込みすぎてフクちゃんの息子の高校生にタメ口きかれてんのウケる。
交錯するシゲカヨとフクちゃんのそれぞれの新婚以来の記憶と現在の生活。
シゲカヨ45、フクちゃん4つ上だったんで50、という、伝説的な作品のその後を描くアラフィフ恋愛事情コメディ。
主要登場人物の多くが既婚者で、そのほとんどが浮気・不倫中という、まあなんというか相変わらずの「ハッピーマニア世界観」とでもいうか、世の中の恋愛離れ・非婚化が進む中、アラフィフの既婚者たちが少々恋愛依存気味で、現実の世情からは浮いてる感じはします。
若い頃ブイブイいわせてた(?)シゲカヨが、特に成長もないままタカハシの庇護のもとに20年が過ぎて、45歳になった今その報いを受けている、とも言え、現実を突きつけられた恋愛依存女にゴシップワイドショー的にダメ出しをし嘲笑をして溜飲を下げる、というのもまあ、一つの楽しみ方だとは思います。
やさぐれていた頃の山田玲司が90年代にミソジニー気味に描いた揶揄のまんまです。
ただ「死ぬときは『いっぱい仕事した』と思って死にたい」と独白するヒロインの『働きマン』を描いた(未完ですが)後の作者が令和の今になってわざわざそんなスカッとジャパンみたいな漫画を描きますかね、という気が強くしています。
あるいは、タカハシとシゲカヨの間に子どもが産まれていたら? それが女の子だったら? あるいは男の子だったら?
ものすごいモンペになっていたかもしれず、あるいは子煩悩ママになっていたかも、あるいは…
恋愛・ラブコメものの「続編もの」では、主人公たちが結ばれて親になり、その子を主人公にした作品も珍しくありませんが、そうした可能性をかなぐり捨てて、シゲカヨは無職のバツイチまっしぐら。
公私共に多くのものを持っているはずの作者ですが、Wikipediaによるとシゲカヨと同じくアラフィフで、何か託すものがあるんじゃないかと思います。
恋愛に向かって斜に構えた作品を描く作家は「達観した恋愛マスター」気取りで作品ドラマ化の後はエッセイ出してタレントになってワイドショーで他人の人生にお説教するコメンテーター、というのがお定まりのコースで、正直ちょっと食傷気味なんですけど、
この作家はその辺の三流の有象無象とはちょっと違う、何かを持っていると思っているんですが。
aqm.hatenablog.jp