ファイブスター物語、連続掲載継続中。
「第6話 時の詩女 アクト5-1 緋色の雫 Both3069」。
扉絵コミで13ページ。
他の号はこちらから。
aqm.hatenablog.jp
以下、宣伝と余談のあとにネタバレ情報を含んで論評しますので閲覧ご注意。
(余談)
昨年7月に大阪から宮崎に引っ越したの機に、Newtypeの購入を「早売り並み」の早さで届くと評判だったKADOKAWAの定期購読に切り替えました。
関西から遠距離な事情もあって「早売り並み」とはいかなくとも、当初は公称発売日には届いていたんですが、ここ半年は遅れがちで今月は6/10(金)に発売のNewtypeが6/13(月)に届きました。
あんま定期購読の意味ねえなコレ…
KADOKAWAがたるんでる、わけでもなくて、新型コロナウイルス禍・巣篭もり需要の影響などで日本の郵便・宅配インフラ事情が悪化してるっぽく、とくに日本郵政の郵便は発売日当日を逃して土日を挟むと3日遅れがデフォになっちゃいますね。
Newtypeもこないだ値上がりしたばかりですが、更にこんな話もあり、
Newtypeに限らず、昨今は諸々の事情で流通や生産が滞ったり、値段が上がったりする話が多く、新型コロナウイルス禍・戦争などの国際情勢・少子高齢化による人口減・不景気などで社会インフラが劣化したり値上がりしていくことを、少しずつ我慢する「ニューノーマル」が求められるのかなあ、と思ったりします。
今回、定期購読(1年間)更新用の振込用紙が同封されてたんですが、KADOKAWAが責を負う事情ではないとはいえ、正直Amazonや近所の本屋で買うのと変わらないのでどうしようかなコレ…
「雑誌や連載の存続を支持する投票」と言う意味では、定期購読を更新すべきなんでしょうけど、正直「そろそろ電子化対応してくんねえかな」という気も。
一般論として、「ニューノーマル」のキーはデジタル化による効率化・省力化なんですよね。電子書籍なら最悪、誤植も修正できますし。
(扉絵)
GTMホルダ型のコクピット解説のカラーイラスト+解説テキスト。
(本編)
ナカカラに本陣を敷くフィルモア軍。GTMナキメーカ内のクリスティンは、シャルデファーの帰路にダイ・グがクリス、茄里、アラン・リーの三人に語ったフィルモアとナカカラの未来のビジョンについて思い出していた。一方、ナカカラ南部戦線で奮戦するフィルモア軍を相手どるコーネラ&メヨーヨ(傭兵)の後方では、メヨーヨのクラーケンベール大帝が不可解な今次会戦を訝しんでいた。
「ナカカラ侵攻に参加する国々にもさまざまな思惑が……」(ニュータイプ2022年7月号より)
(所感)
本陣&戦況
親衛戦力を前線に張って本陣が薄い戦況は、コーラスⅢが死んだ時と同じ構図。
Ⅲを直接的に殺したフィルモアが受け側に回っている皮肉。
クラーケンベールが訝しんでるとおり、フィルモア本星からの増援が到着した時点で終了する予定の、普通に考えて戦略的に意味の薄い戦場であることは敵味方の当事者間で明らか。
要するに元老院(とバッハトマ)(と作者)がダイ・グを殺す、それだけのための会戦。
コーラス-ハグーダ戦でラルゴが、またベラ戦でジィッドがそうしたように、手薄な本陣に切り込んでくる死神は誰か。
戦力はあってもフィルモア皇帝を殺すに足る「格」を持つキャラの数が貧弱な枢軸側では割りと候補が限られていて、
・黒騎士デコース
・背徳者ジィッド
・萌葱グループ(元老院配下)団長ナイアス
ぐらいかな。
大帝クラーケンベール、天位騎士クライマー・パイドル、なんか強いレーベンハイトは、明らかに陰謀の蚊帳の外っぽいので除外。
黒豹騎士団長のアーリィ、萌葱グループ団長のナイアスもキャラ的には似合わず、格下感も否めず、という気はします。
あと上記以外で一番最悪なのは…。
ナキメーカ
「スクリーマー」って呼び名、なんか見覚えあるね。
GTM名称(通称)の変更は設定改変ではなく、クリスティンの戦闘スタイルによるパーソナルな通称だった模様。
あれですね、シャアが搭乗する汎用MSが本人コミで「赤い彗星」と呼ばれたり、アムロのRX-78が「白い悪魔」と呼ばれたのに近い感じっぽいですね。
「サイレン→ユーレイ(幽霊)」「ナキメーカ(泣き女)」みたいに、MH→GTMの名称変更ってちょいちょい日本語要素との符号が多い気もしますねw
シャルデファー
読者が総ツッコミですけど、誤植はまあ、単行本で直してください、としか。
クラーケンベール
ダイ・グの語る「収戦」とでも言うべき思想の真反対というか、完全にスポーツ感覚というか、ちょっとダイ・グの重さとの対比で「ニュースとか全然見てないパリピの大学生」っぽい薄っぺらさを感じないでもないですけどw
その割りに好感度が下がらないのは結局のところ「そういう価値観」の世界観の「漫画だから」というべきか。
現実に自国や近隣国の元首でこんな人いたら大変困るんですけど、漫画のキャラとしてはむしろ自然で、その分、現実にリンクした形で理想を語るダイ・グが異質なんですよね。
ダイ・グ
遺言であり、また作者・永野護の代弁。
現実世界がこうでなかったらもう少しマイルドな表現のはずだったろうし、もはや作者の定見なく漫画で戦争を描ける時代ではないということか。
正直、クラーケンベールの能天気さに少々懐かしさすら。
「平和だからこそ漫画で戦争を楽しむ」ことができるけど、「戦争をエンタメとして消費している後ろめたさ」みたいなものはこの手のフィクションに付き物で、また肯定的であれ否定的であれ「戦争を語るには戦争を描く必要がある」のもまた付き物ですね。
「集団的自衛権」的に実際にミノグシアに参戦しつつも「流れる血を減らしたい」とするダイ・グの思想は、「反戦」「非戦」というよりは「収戦」とでも言うべきでしょうか。
フィルモアとナカカラの両方の民の将来を背負う重責と孤独に加えて、正解のない現実世界の情勢へのメッセージまで背負ってしまって、ダイ・グは本当に大変だなと思います。
天位持ちの騎士で星団一の大国の若き支配者なのに、幸福そうな描写が全然ありません。
願わくば、彼の人生をこうさせた元老院に、自分の宿業に、作者に、あの時のジュノーンのように一矢報いてほしい。
三人の少女
悪く言えば三人の少女は今のところ美貌を除けば「暴力しか能がない」三人で、戦争を嫌いつつ戦争しか能がなかったヤン・ウェンリーが長生きできなかったように、ダイ・グの遺言にこの三人が殉じるのは茨の道です。
この茨の道を歩く者は、ヤン・ウェンリーやダイ・グのように若くして非業の死を遂げるケースが物語では圧倒的に多いんですが、三人の少女にはどんな行く末が用意されているでしょうか。
AKDのボォス星侵攻は3199年、カラミティ星侵攻は3230年と、寿命的に言えば余裕で存命のはずの時期なんですが。
ややこしいことに、3069年の星団の情勢は見方によっては戦国時代のようなもので、星団統一を目指すAKDの星団侵攻もまた、広義の意味での動機はおそらく「収戦」なんですよね。