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#1日2回 3巻 評論(ネタバレ注意)

「1 2 3」と数字が並んで「プレイステーションの日」みたい。

園田れみ(39♀)は夫と死別して実家の一軒家で母と中学生の娘と3人暮らし。

仲の良いお隣の、同い年の幼馴染・松宮季(とき)(39♂)が離婚で婿養子先から出戻ってくる。

不本意な離婚で傷心の季。そんな彼を、再開したご近所づきあいと昔からの腐れ縁で見守るれみ。回想される幼少期から青春期の思い出。

『1日2回』3巻より(いくえみ綾/集英社)

ちゃんとしてる。

表紙のルックスはマーガレットコミックスですが連載は「ココハナ」とのことで、アラフォーな主人公二人の少女漫画とも恋愛漫画ともつかぬ作品。

近作をあんまり読んでいませんが、別マに連載していた頃に愛読していた経験から言うと、ほとんどの作品で思春期の恋愛を描き、ほとんどの作品で猫を描き、ほとんどの作品で思春期の主人公の家庭を描き、ほとんどの作品で思春期の主人公の家庭は片親だったような印象が強いです。

『1日2回』3巻より(いくえみ綾/集英社)

恋と家族と猫を執拗に描く少女漫画家、というイメージ。

数年ぶりに著作を読んだら、思春期に代わって中年の、思春期の子を持つ親を主人公に描くようになっていました。

今巻で起こったことと言ったら、季の海外赴任してた兄夫婦が子どもができたのを機に実家に戻って、気を遣った季が実家を出て一人暮らしを始めたことぐらい。

あとは日常の延長線上の会話劇でしかないんですが、この人が描く漫画はそんな中にキャラクターの内心を吐露させたり逆にマスクしたり、思考と感情の動きを丁寧に描いていて、面白く読まされますね。

『1日2回』3巻より(いくえみ綾/集英社)

「終わるのまだまだ先だー」と油断しているうちにキャラの内心の葛藤が昇華された描写を読み逃していて、予想外に唐突に完結したように感じて「!?」ってなることもある作家でもあります。

あとるりちゃんが妙に季に懐きつつあるのが微笑ましいのと、あと「黒髪七三眼鏡男子萌え」というジャンルをあまり理解できていなかったんですが(『2.5次元』のトラジとか)、

『1日2回』3巻より(いくえみ綾/集英社)

この作品で初めて理解できた気がします。

「当て馬枠」ではあるんですけど、こういう人を魅力的に描くの昔から上手いよね。

脇役の口から作品の核心が語られた気がしていて、

『1日2回』3巻より(いくえみ綾/集英社)

ここが解消されたら結構あっさり終わりそうな気もします。

今回は読み逃さないように、こっちも丁寧に読んでれみと季の心情の機微を追いかけたい。

 

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