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#ワンナイト・モーニング 7巻 評論(ネタバレ注意)

「一緒に一夜を過ごした男女が」「一緒に朝ごはんを食べる」「短編」を描きなさい。

というお題に則って描かれたようなオムニバス恋愛短編連作の第7集。

『ワンナイト・モーニング』7巻より(奥山ケニチ/少年画報社)

俺の彼女の胸をやらしい目線で見るんじゃねえー!から生じる悲しいすれ違い、「あんまん(後編)」。

幼少期からお隣さんの高校生と中学生の幼馴染の未満恋愛、「甘酒」。

年末年始の繁忙でお疲れ気味な様子の彼氏とのデートは予定変更してお家デートに、「七草粥」。

長い同棲生活でマンネリな割りにプロポーズもされない関係にやけになった彼女は、浮気に走る、「おでん(前後編)」。

高校時代の「恋愛未満」だったあの子に数年ぶりにLINEしたら二人で飲みに行くことに、「チェリーパイ」。

『ワンナイト・モーニング』7巻より(奥山ケニチ/少年画報社)

トラブルで可愛い女性アシスタントと二人きりで修羅場の夜と過ごすことになった漫画家、「きつねうどん」。

出産を機に子煩悩になってしまった夫とセックスレスになったことにモヤモヤするママさん一年生、「卵焼き」。

大学生・社会人のエピソードが多く、「高校生以下」は回想シーンなことが多い作品ですけど、今巻珍しく久しぶりにティーンエイジャーの未満恋愛も一編。

『ワンナイト・モーニング』7巻より(奥山ケニチ/少年画報社)

エピソードごとに主人公が代わりますが、「"前に見た二人"の続き」のエピソードも結構な頻度であって、自然と相互に「前日譚」「後日談」の関係になりますが、エピソード自体は「前のエピソード」を知らなかったり覚えてなかったりしても単品で楽しめるような作りになってます。

多くのラブコメ漫画がキャラ人気で保っているのに対して、この作品はキャラがクルクル入れ替わっていく分、「恋愛未満が恋愛になる瞬間」の魅力で保っている、的なことを前にどこかで書いたんですが、よくよく読み込んでみると顔(キャラ)が代わっても男女それぞれの性格はあんま変わらないような気もしますね。みんな似たような性格というか。

『ワンナイト・モーニング』7巻より(奥山ケニチ/少年画報社)

そこから更に読み込んでいくと差分が見えてくるんですが。

告る勇気がない人が勇気を出す話、悪気はないのにすれ違った関係を修復する話、をハッピーエンドに持っていけるパーソナリティというとどうしても似てきてしまう、というのもあるでしょうし、なにより同じ作者が描き続けてるわけですしね。

「作者から見てヤな奴」を主人公にはできないですしw

似てて悪いかというとそういうわけでもなく、あだち充が野球漫画を何回も描くようなものというか、そういえばあだち充の主人公たちは性格どころか顔もみんな(以下略

そういう意味では「主人公たちが毎回変わる」というよりは「作者の恋愛観を体現した男女が毎回異なるシチュエーションにゼロから放り込まれる作品」と言えるかもしれない。

『ワンナイト・モーニング』7巻より(奥山ケニチ/少年画報社)

このあとめっちゃセックスしてた。

まあでも、突然の流れ弾でDISられた格好のあだち充作品においても、ちゃんとまじめに読み込むと達也と比呂の性格、けっこう違うんですけどね。

「何事においても、似てれば似てるほど、近ければ近いほど違いは際立つし、

 そこにこそ個性や本質が宿るものだ。」

と、どっかのラーメンハゲも『らーめん再遊記』5巻(久部緑郎/河合単/石神秀幸/小学館)で言っておられる。

 

 

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