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#BLUE GIANT EXPLORER 6巻 評論(ネタバレ注意)

若き日本人ジャズ・サックス・プレイヤー宮本大のサクセス・ストーリー。

日本を舞台にした「BLUE GIANT」、ヨーロッパを舞台にした「BLUE GIANT SUPREME」に続いて第三部に相当。今度の舞台はジャズの本場、アメリカ。

『BLUE GIANT EXPLORER』6巻(石塚真一/小学館)

ゼロからスタート、偏屈で強力なメンバーを集めて一世を風靡するバンドに…という展開もヨーロッパ編でやりきったので、アメリカ編は趣向を変えてダイが中古のホンダでアメリカ中の都市をソロで巡りバンドメンバーは現地調達する、というロードムービー風。

西海岸を離れメキシコの国境の街でメキシコ人ピアノプレイヤー・アントニオを2人目の固定メンバーに迎え、中古のホンダでアリゾナ砂漠を横断してニューメキシコのアルバカーキ、を経て、今巻ではテキサス州ダラスからヒューストンへ。

『BLUE GIANT EXPLORER』6巻(石塚真一/小学館)

ダラスでメンバー探しにジャズバーに繰り出すもすげない対応をされた二人は、大都市ヒューストンで飛び入り参加ウェルカムなジャズバーで「道場破り」に乗り出すのだった…

ということで、今巻ではまだ仲間になってませんが(これで仲間になんなかったら『ワンピース』の海上レストラン編でサンジが仲間にならないぐらい面白いですが)、日本編(仙台〜東京)では日本人バンド、欧州編では主人公以外はポーランド・ドイツ・フランスと多国籍ながらいずれも白人のメンバーで、このシリーズ初の、ジャズの歴史とは切っても切れない黒人プレイヤーのレギュラーキャラ候補が初登場。

『BLUE GIANT EXPLORER』6巻(石塚真一/小学館)

作品の裏テーマとしてわざわざ言葉にはされないけど「ジャズは言語・人種・国境を超える」というものがあり、主人公がバンド組むメンバーの属性は意識的にまんべんなく設定されていて、逆に予想しやすさはあります。

今回のバンドも日本人(テナーサックス)、ヒスパニック系メキシコ人(ピアノ)、アフリカ系アメリカ人(ドラム)と多様で、ということは残るベースは…。

道場破り、迫力はあるものの「こういうの客が置いてけぼりになりがちよね」と思いながら読んでたんですけど、作者もキャラも自覚的な上にきっちり回収する描写まで挿れて、「しょーもないツッコミ入れながら読んですみませんでしたw」という感じ。

『BLUE GIANT EXPLORER』6巻(石塚真一/小学館)

アルバカーキの初心者向けサックス教室の締めもよかったですね。ありきたりな感想ですけど、やっぱおばさんの演奏にグッときた。

初心者相手の先生をやったことがダイのプレイングにどう影響するか、ってむしろそっち行っちゃうの!? ってオチもいいw

「ジャズはメインカルチャーかサブカルチャーか」という問題は置いといて(サブカルでいいのかしら?)、というよりメインカルチャー・サブカルチャーを問わず、一流のプレイヤーであっても経済的に必ずしも食えていけるとは限らない、というのは創作・芸術・音楽・芸能の分野を共通するテーマで、「ビッグになること」もテーマである以上、どこかで興行・ビジネス面での運に恵まれる必要があります。

『BLUE GIANT EXPLORER』6巻(石塚真一/小学館)

さて、3人目の凄腕黒人ドラマーの勧誘を賭けて、なぜかギャンブル漫画に。

なんの漫画なんだよ、とまた心の中でしょーもないツッコミを入れつつ、「俺と組んだらビッグになれる、その"運"を俺は持っている!」という話をするのにギャンブルは意外と良さげなテーマな気もします。

とか書いたら「ポーカーの強い弱いは運だけじゃないです」って怒られちゃうな。

映画『007/カジノロワイヤル』が好きで何十回も観てんですけど、相変わらずポーカーのルール、「レイズ」「チェック」「オールイン」あたりのルール上の整合性が、わかるようでよくわからんわ。

 

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