

『SPY×FAMILY』の作者が今巻の紙書籍の帯の推薦文を書いただかだそうで、そういえば『テレパス少女の養父になる主人公』とモチーフがダダカブリですね。
5歳ぐらいの少女・カナカは他人の心が読めるテレパス持ちで幼少期以来、『家族八景』の七瀬のようにその能力に苦しんできた。
唯一の理解者だった祖母が亡くなり、親戚をたらい回しにされた挙句にその能力を金儲けに利用しようとする男に引き取られかけたカナカは裸足で逃げ出し、公園で元ヤンの経歴と恐ろしい外見に反して単純バカだが裏表のない綺麗な心を持った男・マサと遭遇する。

『カナカナ』4巻より(西森博之/小学館)
マサもまたカナカの遠縁で、またヤンキー体質で頼られたら捨て置けない性格だったこと、カナカ自身が強く望んだことから、カナカはマサに引き取られ、マサが営む居酒屋で暮らすことになった…
という、西森博之の現作は「テレパス少女もの」+「血の繋がらない父娘もの」。
コメディ進行の日常回を中心に、散文的というか行き当たりばったりに見える展開ですけど、作劇のプロセスがなかなか読めない作者で、過去作でも行き当たりばったりのようでいて後になって結構計算高く伏線を張っていたことがわかることが多いので、先々の予想がつきません。

『カナカナ』4巻より(西森博之/小学館)
近作では散文的な描写の積み重ねによって独特な情緒を込める作風が特徴で、いつどこでどんな終わり方をするのか全然予想がつかない、メタなスリルがある作家。
NHKでドラマ化、もうされたんでしたっけ?
最近は西森作品の映像化ラッシュでファンとしては(観てないけど)嬉しい限りですけど、どしたんだろね。「未映像化の鉱脈」として認知されたんかしら。
それにしても新作が3巻時点でNHKで実写ドラマ化ってそんなことある?

『カナカナ』4巻より(西森博之/小学館)
ツンデレはデレが観測されて初めてツンデレ足り得る。
ツンデレというのはデレが観測されなかったらただのツンツンした人なんですが、店の常連でマサに想いを寄せる高校時代の同級生の沙和がそういう人です。
テレパスのカナカだけが沙和のデレを観測しているという、割りとドン詰まりな片想いなんですけど、

『カナカナ』4巻より(西森博之/小学館)
可愛いなこの人w
ヤンキー・不良漫画でブレイクしたこともあって、高校生主人公のコメディ基調ながらも「敵」が登場してバイオレンスの果てに赦す優しさ、みたいな作品が続いたんですけど、近作になるにつれ抑制的に、特に今作は30年ぶりの成人の主人公ということもあってか、バイオレンス要素抑えめ。
カナカで金儲けしようとする悪い親戚とかもいたんですけど今巻は登場せず、純然たる日常ものに。
夏を守る会の続き、カナカ保育園に行くことを決意するの巻、カナカvs初めての台風、

『カナカナ』4巻より(西森博之/小学館)
カナカが心配なあまりメチャクチャなことを言い出す親戚のおばちゃん。ひでえw
aqm.hatenablog.jp