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#機動戦士ガンダム バトルオペレーション コード・フェアリー 1巻 評論(ネタバレ注意)

熱帯が舞台でもない限り軍服でミニスカ生足はやめとけよw

一年戦争後期、地球連邦軍のV計画が進行し、ジオン軍の幹部ガルマ・ザビが戦死する頃。

北米にキシリア配下の秘匿MS部隊、女性だけで構成される特務小隊、通称「ノイジー・フェアリー」が配置されていた…

という、ガンダム・宇宙世紀・一年戦争の世界観に、日常系の美少女動物園を放り込んだような作品。

『機動戦士ガンダム バトルオペレーション コード・フェアリー』1巻より(高木秀栄/KADOKAWA)

ハズレも多い『ガンダム』スピンオフコミカライズと「美少女軍服ミニスカ生足」の組み合わせ、一見イヤな予感しかしませんが、結論から言うと1巻は事前のイヤな予感ほどは悪くなかったです。


1点目の、『ガンダム』スピンオフコミカライズにハズレが多い点。

『ガンダム』のスピンオフ・コミカライズは玉石混合なところがあって、専門誌「ガンダムエース」の創刊以来、文字通りエースを張れる作品がある反面、映像作品と比べて制作がローコストなこともあって、「埋め草」というか紙面のラインナップを埋めるための(読者目線で)ダメモト企画作品群も多く、有体に言うと「異世界もの」並みに「ハズレ」が多い分野です。

企業プロダクト作品ながら、集団制作の映像作品と比べて作者個人の能力への依存度がとても大きいのも特徴。

『機動戦士ガンダム バトルオペレーション コード・フェアリー』1巻より(高木秀栄/KADOKAWA)

この作品に期待できる点は同名ゲームのコミカライズなので、キャラ・メカ・世界観設定の建て付け・基本設計に企業プロダクト・集団制作のコストが既にかけられている点。

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作者個人のいい加減な「ガンダム観」に振り回されることはなさそうです。

(困ったことに、「いい加減なガンダム観」に振り回されることによって面白さが生まれる作品もあります)


2点目の美少女動物園問題。

女性だけによる部隊、というと、総力戦を象徴するプロパガンダ(広報)の面もあったんだろうと想像される、ソ連赤軍の女子飛行連隊を連想します。

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今回、キシリア直下の「秘匿部隊」ということで、プロパガンダではなさそう。

広報面の要請もないのになぜ女性だけ? というのは疑問ですが、キシリア直下は実験的な変な部隊がもともと多いので…という。

『機動戦士ガンダム バトルオペレーション コード・フェアリー』1巻より(高木秀栄/KADOKAWA)

この作品、正直、学園コメディのような日常パート、部活の試合のように戦闘をこなす主人公たちのノリなど、「戦争もの」としての軽さが目立ちます。

この作品自体に責任がある話ではないんですけど、現在のウクライナ-ロシアの情勢下、また「戦争と女」というとどうしても『戦争は女の顔をしていない』という、富野由悠季が帯の推薦文まで書いた強烈な作品が比較対象になってしまい、それらに対してこの作品が描く「戦争と女」はいかにも軽い。

連日ウクライナ情勢の悲惨なニュースが飛び込んでくる中で読んでるこっちの気分に対して、だいぶ浮いてます。

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その軽さがフリなんじゃないか、と思わせる要素も2点。

視聴者の間口を広げる軽い導入からシリアス化する手法は、『ガンダムZZ』で実績がある点。

もう一点、ヒロインたちのライバルに当たる連邦のこちらも女パイロットが、ヒロインたちの日常パートと同じ漫画とは思えないぐらい重く、

『機動戦士ガンダム バトルオペレーション コード・フェアリー』1巻より(高木秀栄/KADOKAWA)

ゆくゆくシリアス化する布石なのかな、と思ったり。


他に美点としては、おそらくCG作画であろう止まってるMSの描写は『ガンダム』スピンオフコミカライズ群の中でもArkPerformanceに並んでトップクラスにカッコよく、MSを「動かす」ことにも意欲的なように感じられます。

また一年戦争の裏番組ということもあり、本編エピソードとの絡みの「おまけ要素」にも余念がありません。

『機動戦士ガンダム バトルオペレーション コード・フェアリー』1巻より(高木秀栄/KADOKAWA)

もはや『ガンダム』は日本において最も有名な架空戦記の一つで、特に「UC一年戦争もの」なんてもうおっさん世代しか読みません。

戦記系の『ガンダム』作品はほっといても終盤シリアス化するもんですが、今回は特に特異な設定にあえて踏み込んだ作品ということもあり、この作品にしか描けないことがあるんじゃないか、(原作ゲームを未プレイということもあり)戦争ものとしての大人の『ガンダム』の新境地が見られると良いなと期待しています。

個人的には『ガンダム』コミカライズの妙味は、企業プロダクトのタガを「俺がガンダムだ!」と作家性が踏み越えてしまうところなんじゃないかと最近思ってるので、「筆を滑らせろー!」と念じてます。

「描かされ仕事」なんかより「作者のガンダム」が読みたいし、それを許容する広さを『ガンダム』はもう持っていると思うんですが。

 

 

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(選書参考)

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