AQM

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#マリッジトキシン 1巻 評論(ネタバレ注意)

高名な暗殺稼業の名家の嫡男、下呂ヒカル。

一流の「毒使い」として活躍するものの生育・生活環境から非モテまっしぐらで人並みの幸福は諦めているものの、家からは後継者作り・結婚を急かされ、ついに妹の人生が「家の犠牲」にされかけたの機に婚活を決意。

『マリッジトキシン』1巻より(静脈/依田瑞稀/集英社)

暗殺ターゲットだった凄腕の結婚詐欺師の女に請うて「婚活アドバイザー」になってもらい、かくて彼女を相棒に暗殺者の婚活が始まった…

という、暗殺バトルラブコメ。でいいのかなジャンル。

 

暗殺者を題材にした漫画は非常にたくさんありますが、

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本作が第一話一コマ目で示すとおり「卑怯くさい」「アクションにしづらく画面映えしない」「過程が地味」「暗くて陰惨」「死体が汚くなる」など、まあ漫画に向かない理由はいっぱいあって、「毒殺」が主人公アサシンの武器になることは、特に少年漫画ではほとんどありません。大体やられ役やね。

『マリッジトキシン』1巻より(静脈/依田瑞稀/集英社)

各ジャンルのゲームやってるとDoT(ダメージ・オン・タイム/ダメージ・オーバー・タイム、時間経過ダメージ)の猛毒系最強だったりは珍しくないし、現実問題「職業暗殺者をやらなきゃいけないけど長生きしたい」場合は、自分も毒殺を選びそうな気がします。

本作は主人公の能力は「毒殺」ながら、少年漫画らしいバトルに持ち込みやすいしかけも。

『マリッジトキシン』1巻より(静脈/依田瑞稀/集英社)

まージャンプらしい。デバフを転じてキャラの能力を飛躍的に増幅する、ってのもゲームあるあるでニヤリとしてしまいますね。

あと主人公は暗殺者ながらいわゆる「悪人しか殺さない」少年漫画タイプ。


んで暗殺と二足のわらじ、というより一石二鳥狙いの婚活方面で相棒になるメインヒロインですけど、男の娘(もしくは女装男子)です。

『マリッジトキシン』1巻より(静脈/依田瑞稀/集英社)

もはや「ジャンプでヒロインが男の娘なんて!」っていうほど珍しい存在でもなく、伝統的に「可愛ければよかろうなのだ」というか、もともと『ストップ!! ひばりくん!』というオーパーツが存在する上に、本作は本誌じゃなくジャンプ+ですしぃ。

ということで、「毒使い暗殺者」「男の娘(もしくは女装男子)ヒロイン」と、パッと見は奇を衒ったというか一昔前は読者によってはアレルギーありそうな設定も実はたいした障害にはならず、「変わった味付け」としてむしろ歓迎される要素じゃねえかな。

自分は好きです。


この男の娘(もしくは女装男子)ヒロイン可愛くていいんですけど、

「(人外含めた)ワケあり応援ガールなヒロインが非モテ主人公の恋を応援してるうちに両想いに」

ってのもラブコメの定番で、今回は自分は『電影少女』を思い出しました。

『電影少女』1巻より(桂正和/集英社)

なんとなく女の子の絵柄も中期の桂正和に似てる気がせんでもないですね。

『電影少女』の先行読み切り版では

「ビデオガール現出の際にビデオテープが混じっておしとやかだったはずのビデオガールに男(ボーイッシュ)要素が混じっちゃう」

という、ボーイッシュで男心に理解のあるヒロイン設定があって、連載版の「あいちゃん」にもその要素が引き継がれたんですが、今作はもう一歩進んで「男の娘(もしくは女装男子)になっちゃった」という感じ。

 

ということで、一流暗殺者の俺TUEEEドヤ感をベースにバトル&ラブコメを通じて非モテマインドの主人公が啓かれて「モテるモテない」を超えて人間的に成長していく、な感じになんのかな。

どっかで見た要素の寄せ集めではあるんですけど、「毒使い暗殺者」「応援ガールラブコメ」「可愛い男の娘(もしくは女装男子)ヒロイン」と、要素のチョイスの王道の外し方が自分好みで良いですね。

『マリッジトキシン』1巻より(静脈/依田瑞稀/集英社)

時勢を反映した婚活をテーマに、キャラデザも高身長・黒髪・無愛想クール・デキるイケメン・ついでにメガネと、流川とか伏黒とかアキくんとかイケメンキャラの伝統の系譜だったりと、「ツボというか定番性癖おさえてんなー」という今時のジャンプ作品マーケティングの優等生、という感じ。

懸念は主人公の毒属性がバトルで癖があってやや扱いづらいのと、あんま非モテに説教臭くならないといいな、というぐらいで、かっこいい主人公、可愛いヒロイン、縦軸の建て付けとともにギャグコメ要素・ラブコメ要素も申し分なし。

普通に面白くて続きが楽しみ。