
※本編に水着回はありません
週刊少年ジャンプ、本誌連載の青春恋愛漫画。
中高一貫校、バドミントン部の1年のホープ・大喜(♂)と、同じ体育館で練習する女子バスケ部の2年で学校のアイドルで大喜の憧れである千夏先輩(♀)。
部活違い・学年違いながら、早朝自主練で千夏先輩と言葉を交わすようになった大喜が、ある朝自宅で目覚めてリビングに降りると、そこには千夏先輩の姿が!
千夏先輩は親の海外転勤に際してもバスケの夢を諦められず、バスケ部OG同士の母親同士のツテで大喜の家に下宿することになった。

『アオのハコ』6巻より(三浦糀/集英社)
という同居設定の青春恋愛もの。コメディ要素ももちろんありますが、成分比的にラブコメ作品じゃないですね。青春恋愛もの。
千夏先輩のバスケにかける覚悟を知った大喜は、彼女にふさわしい男になるべく、自分もバドミントンでインターハイ出場を目指すことに。

『アオのハコ』6巻より(三浦糀/集英社)
新体操部の期待のホープで大喜の幼馴染で片想い中のサブヒロイン・雛を交えた片想い三角関係。
図にするとこうなる。
雛→(好き)→大喜→(好き)→千夏先輩
この図、要る?
それぞれのインターハイが終わった夏の終わり、雛が大喜に告白したり、大喜と千夏先輩が海に行ったり、定番の「帰れない二人」のお泊まりイベントが発生したり、千夏先輩の同居が一時的に解消されたり。

『アオのハコ』6巻より(三浦糀/集英社)
インターハイも一区切りついて、千夏先輩の気持ち、雛の気持ちと、いろいろと整理してリセットして再出発、という感じ。
特にモノローグでも比較的無口でわかりにくかった千夏先輩の心理が言葉で語られてちょっとスッキリしました。
件の「恋愛自粛令」的なやつ、千夏先輩の気持ちもわかるけどちょっと主人公に酷だなーと思ってたので。

『アオのハコ』6巻より(三浦糀/集英社)
作中で「ずるい女」との指摘に対してヒロインが懊悩するのって『めぞん一刻』以来かしらん。朱美さんが響子さんに「ずるい女」っつったんですよね確か。
一緒にTVドラマ観ながらの母親の意見で表面上の波風立てずに代弁させる、というのはちょっと新しいというか上手いやり方w
三角関係ものの定番展開ですが、響子さんにしろ千夏先輩にしろコユキさん(誰だよ)にしろ、ぬるま湯の人間関係でまったり楽しく普通に過ごしたいだけなのに、モテ故に周りがほっといてくれず「好きか嫌いか白黒はっきりしなさいよ」と迫られる、というのは、それはそれでちょっと可哀想な気もしますね。
自分が意思表示しなくてもお気に入りの異性が一方的にちやほやしてくれるって、正直最高じゃんね。
雛ちゃんが健気に積極的に動き回ってますが、
「サブヒロインが動いて主人公とメインヒロインが気持ちに白黒つけた結果そっちがくっついちゃう
(そうすることがサブヒロインに対する"誠実さ"になる)」
というのは意外と現実でもよくある話で、じゃあサブヒロインは何もしない方がよかったのかというとそういうわけにもいかず、恋愛ごとは何事につけ独りでやることじゃないので中々ままならない。

『アオのハコ』6巻より(三浦糀/集英社)
本人そこまで意識してないんでしょうけど、恋愛漫画用語を身も蓋もなく翻訳すると
「(私に誠実であろうとするなら)、
大喜を好きなら今その旨を私に正直に言ってください。
同じ土俵で正々堂々ライバル関係になりましょう。
大喜を好きでないなら彼に気を持たせるような態度はやめてください。」
と受け取れる、暗黙の「他人の恋愛を邪魔していいのは自分が当事者の時だけ」という同性同士の恋愛ルール協定に基づいたある種の牽制で、現実にはもっとひどい
「早い者勝ちで自分の縄張りなのであなたは手をひきなさい」
って場合もあるんですけど、いずれにせよ潜在ライバル同士がもともと大した関係性がなければ
「お前に関係ねーだろ(なんでお前に誠実じゃないといけないんだ 誰だお前)」
で切って終わってよい「はず」の話(現実では終わらずに「赤の他人の「恋愛脳裁判」にかけられることが少なくない)なんですけど、恋愛・ラブコメ漫画のメインヒロインは作中の人間関係やある種の「聖女属性」故に、これを言えないんですよね。
aqm.hatenablog.jp
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