#AQM

あ、今日読んだ漫画

#売国機関 7巻 評論(ネタバレ注意)

東西の大国に挟まれ緩衝国として強制的に戦火の舞台にされた小さな共和国に、両大国の都合で今度は強制的に平和が訪れて一年。

強制された屈辱的な平和、両大国と唯々諾々と安保条約を結ぶ政権を、不満を募らせる左右の過激派は「売国奴」と罵り、暴徒・テロリストと化す。

『売国機関』7巻より(カルロ・ゼン/品佳直/新潮社)

前線で血を流し友を亡くしながら平和を勝ち取った「塹壕貴族」たちは、平和をすべての脅威から死守するべく、特務機関・軍務省法務局公衆衛生課独立大隊「オペラ座」、蔑称「売国機関」を設立。「平和の敵」と化した市民たちへ銃を向けた。

「幼女戦記」原作者による情報・防諜・公安もの。

前巻、共和国-王国間の国境周辺が再び軍事的緊張状態に陥り「すわ再びの大戦か」という状況に。

『売国機関』7巻より(カルロ・ゼン/品佳直/新潮社)

結局は共和国の西の大国で同盟国である連邦の動きにより、東の王国は撤兵。

中道保守・現実ジリ貧路線の共和国の現政権のプレゼンスが「連邦の犬」と下がり、更に共和国の通貨が「連邦による安定に支えられている」と「わからせられた」ところで、政権を選ぶ選挙に突入。

自国通過の潜在的・爆弾的な弱点を連邦から独り「わからせられた」オペラ座は、現政権の求心力低下を自覚しつつも、選挙の結果を「親・連邦政権の樹立」に導くべく選挙に介入。

『売国機関』7巻より(カルロ・ゼン/品佳直/新潮社)

しかし、新政権を占う選挙はオペラ座・連邦・王国のほとんどの人間の予想だにしない展開を迎える。

というわけで、選挙巻。銃声が一発もありませんでした。

主人公たちオペラ座の飼い主たる政権も交代します。

ほとんどのセリフが状況説明をしてくれているので、大人が丁寧に読めばそこまで難しい話ではないですが、話の大動脈以外の中小の血管や毛細血管の情報量が多いこともあり、ぼけーっと読んでるとこの人たち何やってんだかよくわからなくなりそうなw

「ルールがわからなくても面白い」『ヒカルの碁』をなんか思い出してしまいますね。

『売国機関』7巻より(カルロ・ゼン/品佳直/新潮社)

めんどくさくなったら、全ての登場人物を「共和国独立派」「親・連邦派」「親・王国派」「浮動・自己利益派」の単純な4色に色を塗り分けちまった方が、細かいニュアンスは取りこぼしつつも、わかりやすくはなりそう。

公同党の党首の行動ががめちゃくちゃなようでいて、連邦・王国のいずれかの影響下にあるとは言い難く、本心・動機・行動が読めないこの人が実は一番「自主独立」に近いような気がします。陸軍を掌握して何がしたいのかってのと、「キャラの格」的には新首相が早晩に降板して新々首相が擁立されそうな。

あとは読んでてまあ、「よくこんな状況で首相になりたい奴がいるな」というのと、「この作品、最後どうなって終わるんだろう」という。

あーあと、面白新首相の陰に隠れちゃったテイの通貨は結局どうなるんだw

『売国機関』7巻より(カルロ・ゼン/品佳直/新潮社)

政局の群像劇の話なので仕方がないとは言え、前巻と違って少佐の主人公としてのプレゼンスがほぼゼロだったのが、流れなのか伏線なのか。

 

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