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#BADON 6巻 評論(ネタバレ注意)

オノ・ナツメの現作、煙草が超高級品な「ACCA」世界観、首都・バードンが作品タイトルで舞台。

リコ、ラズ、ハート、エルモの4人の男は、それぞれ犯した罪でヤッカラの刑務所に収監されていたが、国王代替わりの恩赦・減刑で刑期が明け、4人で煙草店を営むべく揃ってバードンへ。前科持ちのハンデを抱えつつ煙草店を開業。

『BADON』6巻より(オノ・ナツメ/スクウェア・エニックス)

「二度と悪事にもサツにも関わらない人生」を夢見る男たちの商売繁盛記にはならず、良かれ悪しかれ罪を犯した過去がつきまとうハードボイルド風味。

既刊に続き、単巻で中編を1エピソード。読後感が良く、一冊の満足度がとても高い。

…という感じで巻を重ねて今巻で通算6冊目ですが、今巻は本作初、短編エピソード集になりました。

『BADON』6巻より(オノ・ナツメ/スクウェア・エニックス)

 

本格的に煙草職人を目指すラズの作業場所を確保するべく物置部屋を物色する一同。そうするうちにアパートの間取りのおかしさに気がつく。謎の空間がある…不動産屋と大家も巻き込んで、ツタ・アパートの謎に迫る。「隠れ家」。

店の定休日、リコは老舗煙草店の先代夫人ケイ・タットラーとデートの約束。待ち合わせの喫茶店にはケイ以外にもう一人の女が待ち構えていた。その女はかつて結婚詐欺師だったリコが騙した被害者。ケイとリコのデートに割り込む彼女は、リコとの復縁を望んでいるように見えるが…「厄介な休日」。

高級品でTVドラマの小道具にも使われる煙草を、TV局に配達するエルモ。何処にでも馴染むコミュ強のエルモはTV局にもすぐ顔馴染みが増える。煙草職人見習い中のラズが作った煙草の試作品を、知り合いになった俳優に勧めたところ、一服した俳優はその場に倒れる。TV局で事件再び?「華やかな世界」。

『BADON』6巻より(オノ・ナツメ/スクウェア・エニックス)

TV局で煙草のCMモデルにスカウトされたエルモは、旧友・マリカに会う用のあったリリーを伴って撮影旅行へ。マリカとたくさん話したリリーは、将来の夢、そして大学受験への決意を固める。そんな折り、リリーが尊敬する料理研究家のサイン会がバードン各所でゲリラ開催されることに。「少女と夢と大人たち」。

『BADON』6巻より(オノ・ナツメ/スクウェア・エニックス)

老舗煙草店タットラーを若くして継いだレニー。友人で居候暮らしで記者のアレンは、謹厳実直なレニーに仕事を忘れて息抜きできる「若者らしい」休日をプレゼントしようと悪戦苦闘する。「『煙草』禁止デー」。

店のメンバーが夢や目標を持ち着々とプレゼンスを高める中、自分も何かしなければと案じるハート。休日恒例の町歩きで、地方からバートンに上京したばかりと思しき老人と行き合う。なんということはない縁で、ハートは老人をバートン・ツアーに連れ回すことに。「新しい居場所」。

 

大きな事件が起こるでもなく、平和で順調で微笑ましく、しかし何処か寂しく切ないプリミエラのメンバーの日常。

どのエピソードも好きですけど、特に最後の「新しい居場所」が好きみたいです。

時間の流れ・時代の変化・別れ・老いによって、人生の時計の針が戻ることは決してないけれど、

『BADON』6巻より(オノ・ナツメ/スクウェア・エニックス)

その代わり恐れを捨てることができれば、いつでも新しく何かを始めることも、出会うこともできる。

 

 

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