AQM

I oppose and protest the Russian invasion of Ukraine.

#乙嫁語り 14巻 評論(ネタバレ注意)

19世紀の中央アジアを舞台に、エピソードごとに主人公が移り変わる「夫婦」「嫁入り」をキーワードにした群像劇として続いて12年目の14巻。

見てきたかのように当時の文化の活き活きとした描写し、衣類やタペストリーの刺繍類の変態的なまでに美しい精緻な書き込みが特徴。

『乙嫁語り』14巻より(森薫/KADOKAWA)

1巻から作中まだ1年経ってなかったのかw

3巻以降、まとまった物語というよりは中央アジアを舞台にしたいろんな夫婦の群像劇な作品ですが、イギリス人・スミスがそれらの人々と出会う旅が、紀行ものとして一応作品の縦軸っぽい感じに。

『乙嫁語り』2巻より(森薫/KADOKAWA)

その後、スミスの中央アジアの旅は折り返して帰路に差し掛かり、旅の途上で出会った未亡人・タラスを伴侶に迎えた彼は、アミルとカルルクと夫婦に再会することをすごく楽しみにいたんですが、ロシアの中央アジア侵攻で情勢が急激に悪化したことで、案内役兼ボディガードの強い勧めもあり、再会を断念して海路でイギリスに帰らざるを得なくなりました。

要するに、スミスを狂言回しにして中央アジアの多様な「乙嫁」に出会っていく縦軸が、作品から失われてしまいました。

『乙嫁語り』1巻より(森薫/KADOKAWA)

というわけで、カメラは再びカルルクとアミルが暮らすエイホン家(町の民)、及びアミルの実家であるハルガル家(草原の民)に。

スミスが(一時)退場した今、エピローグを除くと、ここからの一連が本作の最終エピソードになるのかもしれません。

『乙嫁語り』14巻より(森薫/KADOKAWA)

ロシアの版図拡大を意図した侵攻により草原の情勢もきな臭くなり、町の民と草原の民の氏族の間でロシアに対抗するための同盟・協定が話し合われる中、ハルガルの族長となったアゼル(アミルの兄)は少壮で独身であることから、同盟の結束を強めるための結婚を勧められる。

特に乗り気でないものの断る理由もなかったアゼルは提案を請けるものの、花嫁候補たちの父親である有力氏族の族長が出した条件は

『乙嫁語り』14巻より(森薫/KADOKAWA)

「馬競べ(うまくらべ)で娘たち本人に勝つこと」だった。

ということで急遽、抗ロシア同盟の命運とアゼルの嫁取りを賭けたキャノンボール開催だぜ!ヒャッハー!

という巻。

「私が欲しければ私を倒して見せろ!」を地でいく、草原の民のおおらかでワイルドでダイナミックで物騒でワッショイな集団お見合い。

『乙嫁語り』14巻より(森薫/KADOKAWA)

乙嫁候補はストロング&クール・ビューティ&マッドマックスな女傑だった。

ここにきて新キャラ複数登場。

勇壮な代わりに雑なようでいて、親の子に対する意外と細やかな愛情や責任感、一目惚れに近い男女の恋情の機微が仄見える上に、大規模なキャノンボールから結婚の祝宴までが壮麗に描かれて見応えのある楽しい巻。

出てくる奴がどいつもこいつも竹を割ったような「力こそパワー!」というか「念の六系統で言ったら全員たぶん強化系」というか、

『乙嫁語り』14巻より(森薫/KADOKAWA)

これから結婚する男女が自分の名前を名乗り合う前に自分の馬の名前を紹介し合うぐらい、馬のことしか考えてなくて笑うw

ある意味ウマ娘。

たまに物騒ながら基本的にどこか牧歌的な世界観の作品でしたが、今後の展開的にはクライマックスが抗ロシア戦争とかちあう感じになるんでしょうかね。

 

 

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