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#マリッジトキシン 2巻 評論(ネタバレ注意)

高名な暗殺稼業の名家の嫡男、下呂ヒカル。

一流の「毒使い」として活躍するものの生育・生活環境から非モテまっしぐらで人並みの幸福は諦めているものの、家からは後継者作り・結婚を急かされ、ついに妹の人生が「家の犠牲」にされかけたの機に婚活を決意。

暗殺ターゲットだった凄腕の結婚詐欺師の女に請うて「婚活アドバイザー」になってもらい、かくて彼女を相棒に暗殺者の婚活が始まった…

『マリッジトキシン』2巻より(静脈/依田瑞稀/集英社)

という、暗殺バトルラブコメ。でいいのかなジャンル。

一流暗殺者の俺TUEEEドヤ感をベースにバトル&ラブコメを通じて非モテマインドの主人公が啓かれて「モテるモテない」を超えて人間的に成長していく、な感じになんのかな。

「毒使い暗殺者」「応援ガールラブコメ」「可愛い男の娘(もしくは女装男子)ヒロイン」の変化球に、時勢を反映した婚活をテーマ、キャラデザも高身長・黒髪・無愛想クール・デキるイケメン・ついでにメガネと、流川とか伏黒とかアキくんとかイケメンキャラの王道の系譜だったりと、「ツボというか定番性癖おさえてんなー」という今時のジャンプ作品マーケティングの優等生、という感じ。

『マリッジトキシン』2巻より(静脈/依田瑞稀/集英社)

本作は主人公の能力は「毒殺」ながら、少年漫画らしいバトルに持ち込みやすいしかけも。暗殺者ながらいわゆる「悪人しか殺さない」少年漫画タイプ。

今巻の展開も「殺し」ではなく「ボディガード」「カウンター殺し屋」なお仕事。

近年、特に少年漫画では「殺さない殺し屋」が増えていて、

『マリッジトキシン』2巻より(静脈/依田瑞稀/集英社)

肩書きが「殺し屋」だからといって必ずしも「殺し屋もの」とは言えなくなってきましたね。

主人公の毒使い、前巻の水使いに続いて今巻の敵は音使い。

1巻冒頭こそ「毒使い」っぽさありましたけど、その後の毒使い要素は「身体能力ドーピング(実質"強化系")」に特化しつつ、敵の能力の描写はどんどんファンタジーになっていって、

『マリッジトキシン』2巻より(静脈/依田瑞稀/集英社)

いや、そうはならんやろ。

だいぶリアリティラインを下げて「ジャンプの能力バトルもの」に落ち着きつつはあり、「殺し屋もの」独特の「クール感」「ハードボイルド要素」「倫理のぶっ壊れ度」は違う作品に求めた方がよさそうな感じ。

暗殺と二足のわらじ、というより一石二鳥狙いの婚活方面で相棒になるメインヒロインですけど、男の娘(もしくは女装男子)。

主人公たちと世界観の顔見世の1巻が終わって通常進行に入って、どう転がしていくのかな、と思ったんですけど、

『マリッジトキシン』2巻より(静脈/依田瑞稀/集英社)

エピソードごとに依頼主や護衛対象のゲストヒロインが替わって(増えて)いく『シティハンター』方式、でいいのかなコレ。通常進行では攻略対象にならない「香役」が男の娘ヒロインで、と。

「当たりヒロイン」を引くまで繰り返しガチャできるお得なシステムですけど、「青い鳥」方式で男の娘ヒロインに回帰しそうというか、個人的には回帰して欲しいw

なんかね、展開はジャンプ王道ながら初期設定は変化球なこの作品の行く末に、メジャー少年漫画における「殺し屋」と「同性カップル」の表現の描き方と読まれ方のバロメーター、みたいな、ちょっとおかしい勝手な期待をしてしまう。

 

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