
古代中国で千年生きた九尾の狐・廣天たち精怪(妖怪)と人との交わりをコミカルにシリアスにロマンチックに。ジャンルレス。
主人公・廣天の出生にまつわる悲喜劇のエピソード群が一旦完結しまして、平穏を取り戻した廣天たち。
「神異道術 場外乱闘編」を経て、今巻より新章。

『千年狐 八 ~干宝「捜神記」より~』より(張六郎/KADOKAWA)
晋の時代、市中の警備・防犯を務める役人・石良。四角四面で頭脳明晰で冷静沈着なリアリスト、クールな官僚タイプながら暗闇を極度に嫌う彼に下った新たな事例は、「お化けなんとかします課(仮)」の創設と運用だった。
予算不足の一人部署にコンビとして任用されたのは怪しげで美しい民間人だった。というか毎度お馴染みの化け狐・廣天だった。

『千年狐 八 ~干宝「捜神記」より~』より(張六郎/KADOKAWA)
というわけで、突如として古代中国を舞台にした「怪奇ミステリーファイル」みたいな展開にw
散々神妖がわちゃわちゃするエピソードやっといて今更「お化け」でも「怪奇ミステリー」でもねえだろwwwっていう。

『千年狐 八 ~干宝「捜神記」より~』より(張六郎/KADOKAWA)
今巻中で小事件のエピソードを軽妙・珍妙に3つ解決(?)する短編連作っぽい進行ですけど、「スタンド・アローン・エピソード」かと思われたエピソードが実は「コンプレックス・エピソード」だった、という手法をよく採る作品なので、胡乱げな目で読みましょう。
石良が暗闇を嫌うエピソードもオチがついてないしね。

『千年狐 八 ~干宝「捜神記」より~』より(張六郎/KADOKAWA)
木簡YouTuberやめろやw
古代を舞台に神妖入り乱れるファンタジーなので、ミステリーつってもトンデモ設定や後付けトリックで作者の匙加減でどうにでもできそうな話ですが、意外と原典縛りがかかっているのと、珍妙な展開・描写にとても美しい情緒を忍ばせることに長けている作家なので、続きも楽しみです。

『千年狐 八 ~干宝「捜神記」より~』より(張六郎/KADOKAWA)
というわけで、次巻に続く。
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