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#トニカクカワイイ 22巻 評論(ネタバレ注意)

基本は理系天才フリーター・ナサくんと、謎多きクール美少女・司(つかさ)さんの、なんか可愛い男の子と女の子の新婚生活ラブコメ。

SFファンタジーな「かぐや姫」伝承にまつわり不老不死であることを匂わせつつ隠してきた日常ラブコメの、隠してきたその謎の真相が「第一部 完」として15巻で明らかに。

『トニカクカワイイ』22巻より(畑健二郎/小学館)

当初、司さんは「かぐや姫」その人、もしくは生まれ変わりじゃないかとか思ってたんですよ。

というのも、「竹取物語」についての読み物や映像作品をじっくり見たことがなくて、「蓬莱」も「不死山」についても知りませんでした。

今巻を読んで、とりあえずWikipediaで初めて「竹取物語」について読んだんですけど、

ja.wikipedia.org

『トニカクカワイイ』、モチーフにしただけじゃなくて『竹取物語』に結構忠実だったんだ…と今更知りました。

先にWikipediaを読んでいれば、司さんがかぐや姫その人でなく巻き込まれて「蓬莱」を飲んでしまった人、というのも予見できてたかもしれないと思うと、教養って大事だなあ、と思いました。

「不死山」もWikipediaに書いてあるやんけ。

『トニカクカワイイ』22巻より(畑健二郎/小学館)

ということで、今巻は『トニカクカワイイ』を構成する、「かぐや姫」にまつわる過去回想巻。

『トニカクカワイイ』の過去の伏線を回収し、また新たな伏線を仕込むエピソードでもありますが、ほぼ一冊かけた『竹取物語』のリメイク・コミカライズと言っても差し支えがあんまりなさそうな巻。脇役として司さんも出るよ、ぐらいの。

ラストで月に帰る、というところで昔からSF解釈(SF妄想)がされやすいおとぎ話で、正直、展開やディティール自体は凡百のSF妄想を比べてそんなに物珍しいものではなく凡庸とさえ言っていいんですけど、

『トニカクカワイイ』22巻より(畑健二郎/小学館)

「かぐや姫」の悲恋、恋に落ちる男女の感情の美しさやそれを失う哀しさがとても丁寧に情緒的に描写されます。

ラブコメ漫画家に今更こんな感想も大変失礼な話ですけど、誰でも知ってるラブストーリーをこんなに美しく描ける作家だったんだ、と思いました。

『トニカクカワイイ』22巻より(畑健二郎/小学館)

このエピソードを一冊にまとめた構成も良いし、最後はいつもの「コンビニでアイス」で締めるラストも良いです。

なんというか、『トニカクカワイイ』の連載が終わったら、古今東西のラブストーリーの名作を再構成・コミカライズして欲しい。

『トニカクカワイイ』22巻より(畑健二郎/小学館)

この人が描く『人魚姫』とか、読んでみたいなあ。

『フリーレン』に『よふかし』に、これかー。やっぱサンデー購読すっかな…

 

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