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#逃げ上手の若君 9巻 評論(ネタバレ注意)

「魔人探偵脳噛ネウロ」「暗殺教室」の松井優征の現作は、鎌倉時代末期〜南北朝時代〜室町時代初期を舞台にした歴史物。設定・登場人物は史実ベース。

鎌倉幕府のトップ・執権として世襲で地位を継いできた北条氏の嫡子の少年・北条時行。しかし、幕府と敵対する後醍醐天皇側に寝返った足利高氏(尊氏)により、鎌倉幕府は滅ぼされてしまう。

『逃げ上手の若君』9巻より(松井優征/集英社)

北条氏の滅亡により大切なものを全て奪われた時行は、信濃国の国守にして神官の諏訪家を頼りに落ち延び、足利への復讐を誓う。

という伝記もの。シリアスに史実を追いつつも、演出としてギャグコメディ色も強い作品。

主人公・時行の持ち味は強い生存本能に基づく逃げの天才。

『逃げ上手の若君』9巻より(松井優征/集英社)

1335年3月、信濃動乱を経て、時行が歴史にその名を轟かしWikipediaに載るレベルの「中先代の乱」。「為に作品が始まったエピソード」、時行の人生のハイライトの一つ。

前巻、信濃国での諏訪一党による挙兵、北条時行としての名乗りを経て、今巻で進軍を開始。

目指すは、京で全国を睥睨する高氏に代わり直弟・足利直義が治める、武家の総本山、鎌倉。

『逃げ上手の若君』9巻より(松井優征/集英社)

迎え撃つは直義の親衛、関東最強の庇番衆。渋川、岩松、斯波、吉良、上杉、一色、今川、石塔。

鎧を着たおっさんばっかりの地味な絵ヅラになりそうなところ、ゆうきまさみの『新九郎、奔る!』とはまた別のやり方で漫画ナイズ。というか、子孫一族の皆さんから怒られるギリギリを狙ったキャラ付けw

『逃げ上手の若君』9巻より(松井優征/集英社)

こうですかわかりません

シリアスな縦軸がドラマティックなのは最初からわかってる作品、「少年漫画としての面白さ」の競争が激しい週刊少年ジャンプ連載枠の座を、伝記という比較的地味なモチーフでいかに維持し続けるかがこの作品の最大の課題。

史料が少なく比較的好きなように描けた「雌伏編」から、史料に照らされる「動乱編」に入りましたが、テンションは落ちないまま。

『逃げ上手の若君』9巻より(松井優征/集英社)

次巻で2桁、10巻に乗りますが、デビューから3作連続10巻到達は週刊少年ジャンプ史上、初めてになるとのことです。

togetter.com

ジャンプ「なんか」で歴史もの「なんか」やって、ホントよーやるわw

 

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