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#化物語 20巻 評論(ネタバレ注意)

表紙のこれ誰? 羽川? と一瞬思ったけど、首筋の跡からして撫子やね。

西尾維新の原作を大暮維人がコミカライズして週刊少年マガジンに掲載の鉄板漫画。キャラデザVOFAN準拠。こんなに美麗な絵でコミカライズされると原作冥利に尽きるでしょうね。ちなみに自分は原作とアニメを消化済み。

『化物語』20巻より(西尾維新/大暮維人/講談社)

なんだこのコマ。

順番を入れ替えて、「こよみヴァンプ(傷物語)」の後に「つばさキャット(化物語5章)」。

今回、コミカライズの「つばさキャット」ですが、原作小説やアニメ版ではサラッと触れただけの「つばさファミリー」の回想をガッツリやりまして、実質的に「つばさファミリー+つばさキャット(つばさキャットに回想シーンとしてつばさファミリーを完全に内包)」という形に再構成され、更に虎が出てきて武者も出てきて、アレとソレも「つばさキャット」の中で決着つけそうな勢い。

『化物語』20巻より(西尾維新/大暮維人/講談社)

え、エピソードもドラマツルギーも、みんな寄生獣読んだの?w

原作の先のエピソードを先食いして再構成しているのでやや複雑ですが、すでに原作・アニメを消化してる組にはちょうどいい塩梅に先の展開が読めない「何物語なんだ」という、「君の知らない物語」になってていい感じです。

大胆にショートカットして虎と怪異殺しの同時展開、更に「もう居ないはず」のキャラと「まだ居ないはず」のキャラが共存していることで、原作・アニメで見たことのないマッチアップも。

『化物語』20巻より(西尾維新/大暮維人/講談社)

原作も作中と刊行順の時系列が倒置されていたりとなかなかに複雑でしたが、本コミカライズでは更に(基本的には)個別に発生していた事件群が同時並行で発生してるので、ちょっとTVアニメでやったら視聴者が大量に脱落しそうなだいぶ複雑な展開。

のはずなんですが、小説と違ってビジュアル化され、動画と違って理解のための思考をしながら、自分のペース・緩急でページをめくったり止まったり戻ったりしながらビジュアルを絡めて読める、漫画ならではという感じはします。

『化物語』20巻より(西尾維新/大暮維人/講談社)

こんなセリフ原作にあったっけ?

あとは原作既読だと、「ここは〜物語で、ここは〜物語で…」と再構成の構造や答え合わせに気を取られるのがノイズになってしまって、物語自体に対する没入がやや損なわれるのが難点といえば難点。

というのは原作付きの作品すべてに言えることですね。

「初代・怪異殺し」に関しては、メインヒロインの「元カレ」枠なこともあって読者にとって感情移入が難しいキャラでした。今回彼にとっての「最終回」でしたけど、

『化物語』20巻より(西尾維新/大暮維人/講談社)

彼に感情移入できるかどうかで評価が分かれるエピソードだな、という。400年ですもんね。

いろんなことが起こってますがベースはあくまで「つばさキャット(化物語5章)」なので、作中は確かまだ初年のゴールデンウィークのはずで、暦とキスショットの邂逅から2ヶ月弱しか経ってません。

が、エピソード先食いで原作に完全忠実な順番のストーリー消化はもう無理なこともあって、「『偽物語』以降もコミカライズするのか」という当初の疑問が、なんだかナンセンスになってきましたね。

『化物語』20巻より(西尾維新/大暮維人/講談社)

「忍野メメがいなくなったら『化物語』の終わり」なんかな。

昔『ヒカルの碁』で作画の小畑健がおじさんキャラを本当に楽しそうに描いてましたが、本コミカライズ作画の大暮維人も忍野メメを描いてる時が一番楽しそうで、この人出てこなくなったら描いてる本人はつまんないだろうな、とはw

 

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