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#MFゴースト 16巻 評論(ネタバレ注意)

「MFゴースト」は「頭文字D」と同じ世界観、あっちが基本的に90年代を舞台にした作品であるのに対し、202X年が舞台の続編という位置づけです。大体20〜30年後?という感じ。前作の登場人物たちがおじさんになって脇役で大量に登場。

前作主人公の藤原拓海も本人は登場しないものの、主人公の師匠としてやたら名前がたくさん登場。

『MFゴースト』16巻より(しげの秀一/講談社)

国産車での公道マッチレース(脱法)だった前作に対して、今作は海外製のゴージャスなハイエンドスーパーカーが公道グランプリレース(遵法)を繰り広げるという、クルマ好きには眼福な作品。

レースシーンパートは基本的にはクルマがグルグル走って解説やドライバー自身がブツブツ言ってるだけの漫画なので、そういうのが苦手な人はやめときましょう。

『MFゴースト』16巻より(しげの秀一/講談社)

かっこいいレースシーンと、小出しにされる大ヒット作「頭文字D」のキャラ達の気になる後日談、この2つの撒き餌に寄ってきた硬派な読者たちに、作者の個人的な趣味嗜好であるところのラブコメを無理やり読ませるという、訳のわからない漫画になってきましたが、現にレースシーンはかっこいいし、藤原のその後は気になるし、個人的にはラブコメも大好物なんで全然構いませんがw

第4戦、夏の終わりの高速バトル、「シーサイドダブルレーン」。

『MFゴースト』16巻より(しげの秀一/講談社)

主人公含む「三強」と呼ばれる有力選手が序盤のアクシデントで順位を大きく落とす波乱の展開。

「三強」がトップ集団目指してドッグファイトとパッシングを繰り返す、ファンを熱くさせる派手なレース展開。

そんな熱い戦いの中、どうしても抑えきれずに迸ってしまう作者の熱いラブコメ欲!

ウソでしょ…まさかここで美少女ラブコメ行くの…アタマおかしいでしょ…キミ…

『MFゴースト』16巻より(しげの秀一/講談社)

ちょっと待ってくれ、なんぼなんでもレース中にまでラブコメを進行させるのは普通に考えて無理なんだぜ!

なぜそれがわからんのだ、アムロ!!

という、相変わらず無茶しやがってな展開。

よく「ヒットするにはエンタメ性と作家性のバランス」って言うじゃないですか。

普通、作家性って「自身の内宇宙」とか「トラウマ」とか「思想」とか「葛藤」とかなんですけど、この作家の場合「エンタメ性=クルマとレース」で、「作家性=俺は可愛い女の子とラブコメが描きたい!」なんですよね。

この私、しげの秀一が美少女ラブコメを描こうというのだ!アムロ!

『MFゴースト』16巻より(しげの秀一/講談社)

エロだよそれは!

って言われるまでもなく清々しいまでの作者の丸出しのエゴなんですけど、たぶんラブコメと可愛い女の子を描くのがそんなに上手くないことさえ無視すれば、歴代すべての漫画家の中でもトップクラスにラブコメを愛している漫画家だと思う。

描きてえように描いてもらうしかねんだよ。描いてて楽しいのが一番じゃねえか。

ラブコメに関しては「武器は、伸びしろです」みたいなとこあるけど、その伸びしろでたまに物凄い切なくて良い恋バナ描くんだよこの人。

まあ、どう考えても才能と技術は、国内有数の「クルマ・レース描き」なんだけどねえ…

 

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