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#カノジョも彼女 14巻 評論(ネタバレ注意)

幼馴染の咲に小学生以来ずっと片想いで何回フラれても告白し続けた直也。

高校入学を機についに咲にOKしてもらい付き合いだした矢先、直也はクラスメイトの超美少女・渚に告白される。彼女の可愛さと健気さに胸を打たれた直也は…

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「カノジョも彼女」1巻より(ヒロユキ/講談社)

という、ガチもんの少年漫画ハーレムラブコメ。

いや、ハーレムラブコメのガワを被ったメタ・ラブコメネタのバカギャグコメです。真面目なラブコメと間違って買わないように気を付けてください。

作者は「アホガール」の人。

『カノジョも彼女』14巻より(ヒロユキ/講談社)

「借金が雪だるま式に増えていく」とは聞きますが、「彼女が雪だるま式に増えていく」とは聞いたことがない。正々堂々と二股かけて更に彼女候補が2人いて現在ヒロイン4人体制。

2人(もしくは4人)の彼女を幸せにできる力を周囲に示すため、テストで学年1位をとる宣言をした直也は、彼女ズ(なんだこの日本語)の献身的な協力もあり見事に有言実行を達成。

『カノジョも彼女』14巻より(ヒロユキ/講談社)

直也の勉強をサポートしたご褒美(ご褒美とは…?)に彼女ズ(なんだこの日本語)全員と順番に個別デート編へ。

直也が3人の女の子とデートした後、最後にデートすることになった咲は…

ずっとファンタジーに乗っかったギャグコメでいく漫画なのかなと思ってたんですけど。

もともとギャグラブコメとして、メインヒロインで「第一彼女」の咲ちゃんが「二股(もしくは四股)同棲」を容認することで成り立ってた漫画で、そんな咲ちゃんの「都合の良い漫画のキャラ」としての存在が作品を支えるファンタジーだったんですが、当たり前ですけど咲ちゃんはファンタジーじゃなくて人間で、実は二股されて心が痛かった。

『カノジョも彼女』14巻より(ヒロユキ/講談社)

二股かけられてる方が頭を下げる奇っ怪なシーン。

もともと1巻の例のコマからして、近年のハーレムラブコメの「テンプレ」「お約束」などの既成概念を破壊したいかように、ギャグコメの立場からアンチテーゼを呈していた漫画ではあったんですけど。

『カノジョも彼女』14巻より(ヒロユキ/講談社)

今巻で咲ちゃんが「漫画の都合のいいヒロイン」から「心の痛みを持つ、都合の悪い人間」になったことで、「正直で有りさえすれば許されるんじゃないか」と思ってた主人公は「恋愛の基本のキ」から考え直すことになりました。

特に近年の少年漫画のラブコメって「テンプレ」「お約束」で覆い隠しているタブーみたいな「男女の本音」をたくさん抱えているジャンルなので、どこまで「男女の本音」と「恋愛の基本のキ」を本気でやり直すつもりなのかな、しかもギャグコメで、とちょっと先が楽しみです。

ウカウカしてると、より社会的に知名度の高いポジションで、「変化球」以上の「少年漫画ラブコメの解体」を今まさにしようとしているようにも見える破壊王・藤本タツキに、

『チェンソーマン』11巻より(藤本タツキ/集英社)

追い抜かれて先を越されて、もっとすげーもん描かれちゃうかもしれない、という。

 

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