
米ハリウッドをモデルにした、架空の映画産業の街・ニャリウッドが舞台。
伝説の名プロデューサーを祖父に持ち、その才能を血と英才教育によって継いだ少女・ポンポさんを中心に、俳優・監督・脚本・音響など映画に関わる様々な人々の映画にかける情熱や悲喜交々を描くシリーズもの。

『ニャリウッド!1 NYALLYWOOD STUDIOS SERIES 映画大好きマズルカちゃん』より(杉谷 庄吾(プロダクション・グッドブック)/KADOKAWA)
自分が知る限りシリーズ7冊目です。
以下のリンクで出版時系列で並べてますのでご参考までに。
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近年は映像(映画)制作に情熱を描ける作品がなにかと元気で話題ですね。
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作者はアニメスタジオにお勤めの傍ら、趣味で描いてネットにアップした本シリーズが書籍化・シリーズ化。
お勤め先の事業と正式に連動したのか、今巻から名義が
杉谷 庄吾【人間プラモ】
から、ペンネームが外れて
杉谷 庄吾(プロダクション・グッドブック)
と所属が括弧書きされるようになりました。
あとがきによると、前作『ポンポさん3』で出し尽くして終了する予定だったのが、お勤め先がマネジメント事務所的に動いて連載枠を獲ったことで、継続に至ったとのことです。

『ニャリウッド!1 NYALLYWOOD STUDIOS SERIES 映画大好きマズルカちゃん』より(杉谷 庄吾(プロダクション・グッドブック)/KADOKAWA)
下世話な話、作者と所属企業の印税の取り分とかどうなってんのかしらね。(余計なお世話)
今作の主人公は、ポンポさんの学園生活の同級生で『ポンポさん3』で学生ながら才能を買われて映画制作のカメラマンに抜擢され、ニャカデミー賞の撮影部門を獲得した天才カメラマン少女・マズルカ。
ジーンとミスティアとの映画にかける狂気に触れたマズルカは、あの高揚感を忘れることができず学園生活を退屈に過ごしていたが、街で歌うストリートミュージシャンの少女(もう一人の主人公)ビビアンに光るものを見出し、彼女を主演に音楽映画を制作することを構想する。

『ニャリウッド!1 NYALLYWOOD STUDIOS SERIES 映画大好きマズルカちゃん』より(杉谷 庄吾(プロダクション・グッドブック)/KADOKAWA)
数年後の再会を期して別れたポンポさんの元へ、ビビアンを伴って訪れたマズルカは、制作への助力を依頼し、また撮影のみならず監督・脚本も自分がやりたいと訴えるが…
という今巻。
シリーズでやってることはずっと、映画制作を志す若者(とその相棒となる俳優の卵)がポンポさんの薫陶のもと成長し、傑作映画を制作する夢を叶えるビルドゥングスロマンで、それは本作でも変わりません。

『ニャリウッド!1 NYALLYWOOD STUDIOS SERIES 映画大好きマズルカちゃん』より(杉谷 庄吾(プロダクション・グッドブック)/KADOKAWA)
ただ「総合芸術」と呼ばれる所以、映画制作は切り口がものすごくたくさんあるので、キャラを変え切り口を変えることで飽きさせることなく読者を楽しませることに成功しているシリーズ。
「創作にかける情熱と孤独」「映画論・創作論」というテーマはシリーズを通底していて、更に今巻のキーワードは「脚本」、「音楽」、「自由」、あとなんでしょね、「出会い」かな。
撮影の天才・マズルカが脚本に挑戦。脚本レクチャ編はポンポ→ジーンでもありましたね。
そして情熱と孤独を抱えたビビアンがようやく出会った、夢を理解し共有できる仲間と師。

『ニャリウッド!1 NYALLYWOOD STUDIOS SERIES 映画大好きマズルカちゃん』より(杉谷 庄吾(プロダクション・グッドブック)/KADOKAWA)
いいセリフ。このセリフだけで泣けてくるわ。
こういう大人になりてえな。
『ニャリウッド! 1』とリタイトルされ、一からナンバリングされ直して、シリーズリニューアルというか「ポンポさんシリーズ・リローデッド」という趣。
一度畳んだつもりだった作者には申し訳ないですが、引き続き楽しみなシリーズ。

『ニャリウッド!1 NYALLYWOOD STUDIOS SERIES 映画大好きマズルカちゃん』より(杉谷 庄吾(プロダクション・グッドブック)/KADOKAWA)
今巻、ジーンが回想シーンの2〜3コマぐらいしか出番がなかったのが、なんか不気味よねw
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