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#はじめてのお嬢様 1巻 評論(ネタバレ注意)

駅の切符売り場で珍しく長蛇の列になっている券売機を覗いてみると、美少女が切符の買い方がわからずにウンウン唸っていた。

世話焼きの高校生の少年・瀬和すぐるは見るに見かねて声をかけ、彼女、御城 琴音(おじょう ことね)の初めての切符購入を手伝ってあげる。

『はじめてのお嬢様』1巻より(橙夏りり/双葉社)

箱入り娘・世間知らずすぎて切符を買うのも電車に乗るのも初めての琴音は、親切にしてくれた少年にすっかり懐き、財力とコネに任せて親を説得して彼の高校に転校してくる。

かくして少年の、お嬢様の「初めて」お手伝いライフが始まった。

という、ボーイミーツガールから始まる世間知らずお嬢様の「初体験」ラブコメ。

『はじめてのお嬢様』1巻より(橙夏りり/双葉社)

初めての切符、初めての自動改札、初めての電車、初めての学食、初めてのカレーうどん、初めての洗濯、初めてのスーパーでの買い物、初めてのコインロッカー、初めての友達と一緒の登校、初めての友だち、初めてのコンビニおにぎり、初めての自転車、初めての相合傘、などなど。

表紙のとおり巨乳美少女お嬢様に「初めて」「初体験」というワードと微お色気(たまにパンチラ有ります)でちょっとエッチな展開を一瞬だけ期待させつつも、やってることは牧歌的でベッタベタな世間知らず箱入り娘もの。

『はじめてのお嬢様』1巻より(橙夏りり/双葉社)

キャラも特に捻りもなく、性善説的で世話焼きの少年と、素直で好奇心旺盛で世間知らずなお嬢様。

大作感も名作感もなんの捻りもないクラシックでオーソドックスでバニラなベッタベタのベタなんですけど、「ワクワク→やってみた→できた!嬉しい!」という素直極まりない作品で、捻りが入った作品が持て囃されるご時世にシンプルに微笑ましいやら、「少年漫画可愛い」絵柄でヒロインが可愛らしいやら、心が洗われるわ。

それだけなんですけど、それだけでいいじゃない。的な。

『はじめてのお嬢様』1巻より(橙夏りり/双葉社)

世間知らずすぎるお嬢様が自動車を見て「鉄のイノシシですわ!」とか言い出したらどうしようと思ったんですけど、さすがにそんなことはなかったんですけど、なんか「世間知らず」も度が過ぎるとタイムスリップもの・異世界転生ものみたいだな、とw

多様化とかクラスタとか島宇宙とか断絶とか言われて、まあ価値観や常識や知識を国民的・汎用的に共有しづらい時代ですけど、ちょっと勇気を出して「隣の島」に行ってみたら自分もこんな風に見えるんだろうかとか、「初めて」に挑戦するのってちょっと不安だけどワクワクして楽しいよな、とか。

『はじめてのお嬢様』1巻より(橙夏りり/双葉社)

ラブコメというより、子どものように目を輝かせて「初めて」にチャレンジするお嬢様を見守る、育児ものみたいな日常ラブコメ漫画。