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#明日ちゃんのセーラー服 11巻 評論(ネタバレ注意)

TVアニメ化を経て、100万部に到達、とのことです。

全巻買って読んでる自分が言うのもなんですけど、こんな変な漫画がねえ。

学年に1人しか児童がいないド田舎の小学校で育った運動神経抜群で天真爛漫な美少女・明日小路(あけび こみち)が、

『明日ちゃんのセーラー服』11巻より(博/集英社)

田舎の私立の名門中学に入学して友達を少しずつ増やしながら過ごす日常をキュートに、フェティッシュに。

夏休み編が終わって新学期に入って、小路は演劇部に入部。

嘘か真か、かの江口寿史はかつて

「可愛い女の子を描きたいんじゃない、可愛い女の子になりたいんだ」

『明日ちゃんのセーラー服』11巻より(博/集英社)

語ったそうです。伝聞なので嘘か真か自分にはわかりませんが、ありそうな話。

本作の作者もその系譜かなと思っていたんですけど。

漫画の文法やお約束を逸脱しているというか無視しているというか、自由気ままに可愛い女の子を描きたいだけの人だと思っていたんですけど。

『明日ちゃんのセーラー服』11巻より(博/集英社)

俳句の会に来て、「五七五」を無視して踊りながら詩を歌い上げているような、「それ俳句じゃないよね」「漫画ではなくない?」と思うけど、ツッコむのも野暮のような気がしていたんですけど。

絵師になるか、もしくは次回作の習作のようなものなんじゃないか、と。

本作は可愛く明るい女の子の、少しの勇気と楽しい日常を描くための作品で、それ故にほぼ「喜怒哀楽」の「喜」と「楽」しか描かれてきませんでした。

『明日ちゃんのセーラー服』11巻より(博/集英社)

相変わらず作者の気の向くままに、どこに向かってんだかよくわからない話の展開ながら、今巻の感想は

「急に何をするんだ」

という感じでした。

両親を喪って生き残ってしまった子どもと、彼女とどう向き合ったら良いかわからない子ども、

『明日ちゃんのセーラー服』11巻より(博/集英社)

拙く幼く絞り出されるように描かれた、この漫画で初めてかもしれない「哀」と「怒」。

どこか作り物めいた「天真爛漫で素直な美少女」というよりは、蛮勇ゆえに人の心にズカズカ入り込むブリキの人形みたいだった小路が、「哀」と「怒」によって他人を傷つけることへの怖れと同時に、人間の心を手に入れたかのような。

変な漫画だなー、

『明日ちゃんのセーラー服』11巻より(博/集英社)

なんつーセリフだよ。

なんでこんな変な漫画で泣いてんだ俺。読んでいて胸が苦しくなる。

「可愛い女の子をポエミーに描きたいだけの漫画(?)」だったはずなのに、いったい何を読まされているんだ。

 

 

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